学習塾の講師による子どもへの性犯罪が後を絶たない。2023年には中学受験塾「四谷大塚」の20代の元講師が在職中、小学生の女児を盗撮したなどの疑いで警視庁に逮捕された。今年9月には、「やる気スイッチグループ」が運営する個別指導塾「スクールIE」の都内の教室で、元教室長の男(45)が授業中に女子中学生にわいせつな行為をした疑いで警視庁に逮捕された。そうした中、関東地方の40代の母親が、昨夏、当時小学6年生だった娘が、大手の個別指導塾で若い男性講師から体を触られるなどしたと訴えた。 * * * 母親の説明によると、トラブルは以下のようになる。 その日は、夏期講習で理科の初日だった。アルバイトの若い男性講師が娘の担当になり、マンツーマンでの指導となった。すると、隣に座った男性講師がいきなり、娘の腰や背中を触ってきた。さらに、娘が問題を解いていると、プリントをおさえる左手の甲に自分の手のひらを重ねてきたという。 娘が拒否すると講師は、「モテないよ、そんなこと言っていると」と言い放った。「お母さんに言わないでね」と、口止めまでした。 娘は教室内にいた教室長の男性に、「(講師が)触ってきて気持ち悪い」と助けを求めたが、教室長は講師に「嫌がってるからやめるように」と口頭注意しただけ。講師を代えることなく、そのまま授業を続けさせた。 さらに、休憩時間になると、講師は自らのiPadで、子どもたちがいる場で性的動画を見始めたという。 「娘は、私に電話をして助けを求めるか迷ったそうです。しかし、授業中は電話に触ってはいけないというルールがあるので、授業が終わるまで我慢するしかなかったと言いました」 ■娘はパニック状態に 母親が娘から塾で起きた出来事を聞いたのは、授業が終わり迎えに行ったとき。娘はパニック状態で汗をかきながら、必死に伝えたという。 驚いた母親は、その場から教室長に電話。約1週間後、本社の担当者、教室長、男性講師、そして母親と4者で面談が持たれた。 講師は娘に触ったことを認め、謝罪の言葉を述べた。塾側は事実を確認し、男性講師はその場で解雇されたという。 面談の際に知ったが、驚くことに教室内には防犯カメラが設置されていなかった。入塾の際に教室長から、「入り口などに防犯カメラは設置している」と説明を受け、教室内にも当然設置されていると思っていた。それが、防犯カメラ映像の提出を求めたところ、教室内には設置されていなかったのだ。 娘は直後から「おなかが痛い」「気持ちが悪い」「頭が痛い」など体調不良を訴えた。次第に、「左右の耳の聞こえ方がおかしい」と訴え、専門の病院で検査した。すると、感染症ではなく、ストレスが原因である可能性が高いとされ、最終的に突発性難聴と診断された。