愛する娘は、同級生の手によって突然命を奪われた―― 2006年8月26日、当時、高等専門学校5年生だった中谷歩さんが、同級生の男子学生に殺害された痛ましい事件。 そのつらい記憶を、母親の中谷加代子さんが高校生たちに語りました。 【前編】から続く。 ■愛する娘は首を絞められ、強姦され、殺害された 2006年8月28日。 「歩が死んだ」――夫から信じられない知らせを聞いた中谷さんは、警察署で変わり果てた姿となった娘と対面しました。 中谷加代子さん 「歩ちゃん、起きにゃ。歩ちゃん、早く起きて。もう起きる時間なんよ」 そう呼び掛ける中谷さんに、歩さんはこたえませんでした。 「親は子どもが助けてと言ったら、どれだけ離れていても聞こえるものだと思っていました。でも私には聞こえなかった。 私には歩を助けることができませんでした」 事件前日、歩さんは同級生の男子学生からパソコンのソフトについて教えて欲しいとメールで頼まれ、「ちょうど学校に行くからいいよ」と返信していたといいます。 そして事件当日、朝から学校に行き、友人と話をした後、歩さん一人で研究室に向かいました。 そして…。 中谷加代子さん 「歩がパソコンに向かっているところを犯人は後ろから手で首をしめ、さらにビニールの紐で何重にも巻いて、歩をしめ殺しました。 歩は苦しかったと思います、それを取ろうと抵抗したようです。 その後、犯人は歩を強姦して、性的な暴行をして、研究室のドアに鍵をかけて逃走しました。」 歩さんの友人たちは彼女と連絡が取れないことを心配し、探し回りました。 そして、電気が消え鍵がかかっていた研究室で、倒れている歩さんを発見したのです。 警察は、歩さんの同級生だった当時19歳の男子学生に殺人容疑で逮捕状を取り、その後全国に指名手配しました。 「どうして歩を殺したのか」 その答えを知りたいと願った中谷さん。 しかし、それが叶うことはありませんでした。 ■「本当のことを話してほしい」…叶わなかった願い 事件から11日目。 容疑者が山の中で首を吊って自殺しているのが発見されました。