フランス・パリのルーヴル美術館から総額8800万ユーロ(約155億円)相当の宝飾品が盗まれた事件について、パリ検察は2日、犯罪組織のプロではなく軽犯罪の常習犯による犯行だとの見方を示した。 「この事件は、日常的な違法行為とは言いがたいが(中略)犯罪組織の大物によるものとも言えない犯行だ」と、ローレ・ベクオー検事は仏ラジオ「フランス・アンフォ」に語った。 世界で最も来館者数の多い美術館で起きた盗難事件に、フランスだけでなく世界に衝撃が走った。 ベクオー検事は、この事件をめぐり逮捕・起訴された4人(男性3人、女性1人)について、パリ北部の貧困地域セーヌ・サン・ドニに住む「明らかに地元の人間」だと話した。 ベクオー検事は2日、仏ラジオ「フランス・アンフォ」のインタビューで、逮捕された4人「全員はほぼセーヌ・サン・ドニに住んでいる」と述べた。 4人のうち男性2人には窃盗の前科が複数あり、警察に以前から知られていた人物だという。 1日には女性1人が、組織的窃盗への共犯および犯罪準備を目的とした犯罪的共謀の罪で起訴された。 37歳の男性は、窃盗罪および共謀罪で起訴された。 2人は事件への関与を否定している。いずれの名前も公表されていない。 ベクオー検事は、起訴された女性と27歳の男性は恋人同士で、子どももいるとしたが、それ以上の詳細は明かさなかった。 先に逮捕された男性2人は、窃盗と犯罪目的の共謀の罪ですでに起訴されている。当局によると、2人は事件への関与を「一部認めている」という。 捜査当局は、男性4人が白昼の窃盗を実行したとみている。うち1人は現在も逃走している。 先週にはほかに3人が拘束されたものの、起訴されずに釈放された。 窃盗犯は10月19日午前9時30分にルーヴル美術館が開館した直後、現場に着いた。 機械式のはしごを使ってセーヌ川近くのバルコニーから「ガレリア・ダポロン(アポロンのギャラリー)」に侵入。ディスクカッターを使用して、宝飾品が入った展示ケースを破壊した。 検察によると、犯人が館内にいたのはわずか4分間。午前9時38分には外で待機していた2台のスクーターで逃走し、その後、複数の車両に乗り換えたという。 今回狙われたギャラリーには、フランス王室の宝飾品が収蔵されている。関係者によると、ナポレオン3世の妻が所有していた王冠は、犯人らが途中で落としたと見られ、現場付近で発見された。残る7点はまだ見つかっていない。 すでに国外へ持ち出された可能性も懸念されているが、事件を担当する検察官は、無傷の状態で回収できる可能性はまだあるとしている。 事件後、フランス国内の文化施設周辺では警備体制が強化されている。 ルーヴル美術館は、最も貴重な宝石の一部をフランス銀行(中央銀行)に移した。 (英語記事 Louvre heist carried out by petty criminals, prosecutor says)