メキシコで抗議デモが激化、犯罪撲滅訴える市長の殺害が引き金

(CNN) メキシコのミチョアカン州で、激しい抗議活動が発生した。抗議は犯罪撲滅を声高に訴える市長が先週末の「死者の日」の祝賀行事参加中に殺害されたことを受けて起きた。 抗議活動が始まったのは2日。参加者は州都モレリアで「虐待と怠慢はもうたくさんだ」とのスローガンを掲げた。デモは暴徒化し、一部の人々はモレリア市政府庁舎に押し入った。地元当局は8人の逮捕を確認した。 4日にはアパツィンガン市当局が、市庁舎への放火を確認したと発表。フェイスブックへの投稿で、今回の暴力行為に走ったのは「危険な集団であり、彼らの目的は真の平和構築から程遠い」と非難した。 1日にウルアパン市のカルロス・マンソ市長が殺害された衝撃的な事件は、同州における抗議活動の引き金の一つとなっている。この他抗議の背景には、アパツィンガンの柑橘(かんきつ)類生産者協会会長を務めるベルナルド・ブラボー・マンリケス氏が殺害された事件に対する潜在的な怒りもあった。ブラボー氏は10月、農業従事者の警備強化を訴えた数日後に遺体で発見された。 国際危機グループ(ICG)のメキシコ担当上級アナリスト、ダビド・モラ氏はCNNに対し、社会の異なる階層に属する上記2人の相次ぐ殺害は、暴力がミチョアカン州の生活のあらゆる側面に浸透していることを示すと指摘。今回の抗議活動は「ミチョアカン州民の率直な反応だ。彼らは長年にわたり、極度の不安と暴力の蔓延(まんえん)という状況下で暮らしてきた」と述べた。 治安の悪化により、ミチョアカン州及び隣接するハリスコ州では、一部の町の住民が家を放棄せざるを得なくなった。その結果両州間の農村部には、数多くの「ゴーストタウン」が生まれている。 今週の抗議活動で、デモ参加者はマンソ氏とブラボー氏の双方に言及している。 ロイター通信の取材に応じたデモ参加者たちは、ミチョアカン州で蔓延する恐喝や暴力に激しく反発した。現地でレモンやアボカドを栽培する農家は、麻薬密売組織に法外な賄賂を支払わされることがしばしばある。 「国民として、我々は疲れ果てている」と、あるデモ参加者は語った。 マンソ氏は1日、「死者の日」のイベントでソーシャルメディアでのライブ配信を終えた直後に襲撃された。現場で殺害された容疑者の身元は明らかにされていないが、17歳から19歳の少年とみられると、ミチョアカン州の検事総長が3日に発表した。 犯行について当局は、組織犯罪集団によって計画されたとみていると述べたが、詳細は明らかにしなかった。

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