融資名目1億円詐取疑い 北國銀から、元代表ら逮捕 運送業「アペックス」 金沢東署

●返済能力「ある」とうそ 会社の運転資金名目で融資を申し込み、石川県内の銀行から約1億円をだまし取ったとして、金沢東署は13日、詐欺の疑いで、2023年に経営破綻した運送業「アペックス」(金沢市東蚊爪町)の元代表取締役と元総務部長の男2人を逮捕した。署は他にも同様の詐欺を繰り返していた可能性を視野に、事件の全容解明を急ぐ。 逮捕されたのは、元代表取締役で、内灘町白帆台1丁目、無職沖野幸一(61)、元総務部長で同町大清台、無職嶋田一彦(60)=業務上横領の罪で公判中=の両容疑者。 逮捕容疑は、共謀して2022年6月ごろ、石川県内の銀行にうその決算書を示すなどして、返済能力に問題がないように装い、同年8月ごろ、運転資金名目で融資を申し込み、2回にわたってアペックス名義の口座に現金計約1億円を振り込ませ、だまし取った疑い。署は捜査に支障があるとして両容疑者の認否を明らかにしていない。動機などを詳しく調べる。 署によると、今年の1月22日に銀行側から刑事告訴の相談を受け、5月22日に告訴状を受理した。銀行は北國銀行で、同行の広報担当者は「個別の事案についてコメントは差し控える。関係当局による捜査、調査に当社が協力できることについては法令および社内規定に基づき誠実に対応していく」と話した。 アペックスは23年10月、資金繰りの悪化により、約92億円の負債を抱えて経営破綻。その後、同社から商号を変更した「エーピー管財」に42億円余の使途不明金が見つかっている。 嶋田容疑者については、アペックスから現金計735万円を着服したとして、業務上横領の罪に問われており、10月に金沢地裁で開かれた初公判で起訴内容を認めた。 起訴状などによると、20年8月3日から22年3月10日までの間、アペックス名義の口座から現金計800万円を出金し、同時期に自己使用目的で735万円を被告名義の口座に入金して着服したとされる。 この問題をめぐっては、エーピー管財が嶋田被告に損害賠償を求める民事裁判を起こし、地裁が5億円の賠償を命じた判決が確定している。

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