トランプ氏とマムダニ氏が会談、物価高対策とニューヨーク愛で結束表明

(CNN) 米ニューヨーク市次期市長のゾーラン・マムダニ氏は21日、ドナルド・トランプ大統領をファシストだと思うかどうか問われた。 大統領執務室で本人の隣に立ったマムダニ氏は答え始めたが、席に着いたトランプ氏がすかさず口を挟んだ。 「大丈夫だ。『イエス』と言えばいい。その方が簡単だ。説明するより楽だ」。トランプ氏はマムダニ氏にそう言うと、冗談交じりにマムダニ氏の腕を軽く叩(たた)きながら笑い飛ばした。 会談前は双方が構えた態度で臨んでいたため、このような対等なやり取りはほとんど考えられなかったが、MAGA(米国を再び偉大に)運動の指導者と自称民主社会主義者は、自分たちの会話が建設的かつ友好的でさえあったことを明らかにした。 「彼が活躍すればするほど、私は幸せだ」とトランプ氏は次期市長について語り、後にマムダニ氏が市長を務めるニューヨーク市に住むことに前向きな姿勢を示した。 市長選の選挙運動中、トランプ氏は自身の地元でもあるニューヨーク市の有権者に対し、共和党候補ではなく、無所属で出馬した民主党のアンドリュー・クオモ前知事を支持するよう呼びかけた。クオモ氏の方がマムダニ氏を破る可能性が高かったからだ。トランプ氏は、マムダニ氏が勝利した場合、ニューヨーク市への連邦資金拠出を停止すると警告し、州兵派遣の可能性を示唆。マムダニ氏を逮捕するとも警告していた。トランプ氏はマムダニ氏を何度も「共産主義者」と呼んできた(マムダニ氏は自身が共産主義者であることを否定している)。 しかし会談後の記者会見で、トランプ氏とマムダニ氏は互いの強みを政治的に活用できるとの認識を示唆。ニューヨーク市には昨年の大統領選ではトランプ氏を、今月初めの市長選ではマムダニ氏をそれぞれ支持した有権者がいることを例に挙げた。 トランプ氏は、50%以上の得票率を記録したマムダニ氏の市長選での圧勝に敬意を表した。マムダニ氏は労働者階級の問題に焦点を当て、全米で最も人口の多い都市の生活費高騰に歯止めをかけるという公約を掲げた。こうした話題はトランプ氏にとっても追い風になる可能性がある。今週発表されたFOXニュースの世論調査によると、有権者の76%が経済に対して悲観的な見方を示しており、これは中間選挙を来年に控える共和党にとって大きな警鐘となっている。 マムダニ氏にとっても、ホワイトハウスとの協力関係を築くことは最大の利益となる。ニューヨーク州の会計検査官によると、ニューヨーク市の2026年度予算は連邦政府から74億ドル(約1兆1600億円)の資金を計上している。 財政難に加え、トランプ氏とマムダニ氏は、エネルギーコスト、公共の安全、中東和平といった問題でも共通点を見いだせたと示唆した。移民政策やイスラエルとイスラム組織ハマスとの紛争をめぐる両者の対立も、少なくとも言葉の上では和らいだと言えるだろう。 マムダニ氏は21日の会談で両者がニューヨーク市への敬意と愛情を共有したと示唆。トランプ氏も市長就任後のマムダニ氏について、良い仕事をするはずとの信頼感を表明した。 「実際、彼(マムダニ氏)は保守派の一部を驚かせることになるだろう」(トランプ氏)

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