全国各地で薬物依存に関する講演活動などを行っている、元タレントの田代まさしさんが、館山市の「チバマリア依存症施設」で講演を行った。薬物依存について「一日一日、やめ続けていくしかない」などと、依存症患者ら約70人に語り掛けた。 同施設では、薬物やアルコール、ギャンブルなど、あらゆる依存症の女性たちが入所し、さまざまなプログラムを通して回復を目指している。今回は、覚醒剤取締法違反などで複数回の逮捕歴がある田代さんを招き、体験や考えを聞いて、依存を乗り越えるきっかけにしようと企画された。 田代さんは、繁忙な業務から「辛い」「孤独」といった精神状態が覚醒剤の使用につながったなどと、使用のきっかけを吐露。シンナーを吸っていてやめられた経験も手伝って始めたが、「薬物はやめられなかった。脳が覚えている」と依存症の怖さを語った。薬物を連想させるものや言葉が日常にあり、「一日一日で、(薬物を)やめ続けていくしかない」と向き合い方を共有した。 終始ジョークを交えながら語った田代さんは、「失敗したからこそ会えた人や、見つけた居場所がある。失敗が悪いことじゃないと思えるよう、自分のために話している部分もあるが、皆さんに一つ二つ、響くものがあれば」などと呼び掛けた。 アルコール依存症の女性(38)は「『きょう一日を飲まずに過ごした』という生活を積み重ねていくことが、改めて大事だと感じた」。薬物依存症の女性(52)は「共感できる話が多く、自分もこの施設に来たことでできた仲間やスタッフと、回復を目指したい」などと感想を話した。 (安井咲子)