“点滴に空気注入2人殺害”事件 黙秘の女、初公判で一転「無罪主張」

2人の男性を殺害したとされる女の裁判。黙秘を続けてきた女が法廷で初めて口を開きました。 ■“連続殺人”黙秘の女 法廷に 裁判長 「鈴木さんの事件について言いたいことはありますか?」 赤間恵美被告(39) 「はい。空気を注入していません、殺害していません」 同じ介護施設で入居者の男性2人が次々と不自然に死亡した事件の裁判が始まりました。 検察側 「介護士が被告のトートバッグを確認したところ、中からシリンジが2本出てきた」 そう主張する検察に弁護側は…。 弁護側 「赤間さんは無罪です。証拠が乏しいのに想像を巡らせて殺人事件にすることは許されない」 殺人の罪などに問われているのは看護師などとして施設で働いていた元職員の女です。 被告に関する様々な証言が法廷を飛び交いました。 被害者(鈴木さん)を知る人 「優しい人で、この町内全部、見ててくれて優しい人だった。農業でコメ・野菜を作っていた」 「すごくいい人。私は家庭菜園やっているが農業のイロハを全部、教えてくれる人。普通に亡くなったと聞いた。隣近所も不思議に思わなかった」 茨城県古河市の介護施設「けやきの舎」で事件が起きたのは2020年。 入所者の鈴木喜作さん(当時84)、吉田節次さん(当時76)が相次いで不審死しました。 鈴木さんらを殺害したとして逮捕されたのが看護師などとして施設で勤務していた当時35歳の赤間被告でした。 赤間被告を知る人 「明るいですよね。結婚する前はあいさつとか『こんにちは』と言ったら『こんにちは』という子。まさかと思った。まさか恵美ちゃん(が逮捕される)とは思わなかった」 当時、取材に応じた赤間被告の親族は…。 赤間被告の親族 「印象は“良い方が9割”、“悪い方が1割”。短気なところもあったが弁当を作ってくれたり、良いふうにやってくれていた」 ■空気を注入“連続殺人”真相は 今回の裁判で赤間被告は被害者2人の体内に空気を注入して殺害した罪などに問われています。 裁判長 「鈴木さんの事件について言いたいことはありますか?」 赤間被告 「はい。空気を注入していません、殺害していません」 裁判長 「吉田さんの事件について言いたいことはありますか?」 赤間被告 「はい。空気を注入していません、殺害していません」 赤間被告は殺人事件への関与を否認していて、「関与はあったのか、なかったのか」が全面的に争われることになります。 検察側の冒頭陳述 「被告はブランクが7年あり、仕事になじめずストレスを感じていた」 検察側は赤間被告が被害者らの点滴用チューブにシリンジで空気を注入するなどして殺害したと主張しています。 また、被害者らが死亡した日の2つの目撃証言を明らかにしました。 証言(※検察側の冒頭陳述) 「午後3時20分に、被告人が鈴木さんのいる102号室に入るのを別の介護士が目撃した」 鈴木さんの容体が急変したのは、この約10分後だったということです。 また、吉田さんが死亡した日には…。 証言(※検察側の冒頭陳述) 「吉田さんの死亡後、以前から不審に思っていた介護士が被告のトートバッグを確認したところ、中からシリンジが2本出てきた」 赤間被告は、この日のうちに施設を自主退職。働き始めてからわずか2か月余りのことでした。また、事件の後に結婚し、転居していたことも分かっています。 赤間被告の親族 「引っ越す時には写真も何から何まで全部、持って行ってしまった。もらいもののギフトから何から何まで。空箱だけ残されていた」 一方、弁護側は…。 弁護側 「殺人事件ではありません。この一件は高齢の男性が急変して亡くなったというもの」 そもそも殺人事件ではないと主張しています。 弁護側 「鈴木さんには脳出血の後遺症などの持病があり、容体が急変して死亡した」 その証拠として提示したのが…。 弁護側(法医学者の証言) 「司法解剖がされていないため、本来の死因の特定はできていない。心臓の病気で亡くなった可能性がある」 赤間被告は「無罪」であると主張。 一方、赤間被告が認めている事実もあります。 赤間恵美被告 「窃盗については私が万引きしたことは認めます」 実は介護施設での事件から約半年後、赤間被告は万引きの容疑でも逮捕されていました。 古河市内のスーパーで牛肉のパックなど12点、税込みで5000円相当を万引き。私服警備員が犯行を確認し、店を出たところで現行犯逮捕したそうです。 殺人と窃盗の罪に問われている赤間被告の裁判は今後も続きます。

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