再審判断迫る「菊池事件」映画で知って、弁護団が全国で上映会展開

ハンセン病患者とされた男性が殺人罪に問われ、無実を訴えながら死刑となった「菊池事件」を描いた映画の上映会が13日、熊本市内であった。事件の裁判をやり直す「再審」を開くかどうかの判断が来年1月末までに熊本地裁から示されるのを前に、事件と死刑制度への理解と関心を広めようと、熊本県弁護士会が開いた。 男性は、1952年に現在の菊池市で起きた元村職員殺害事件で逮捕され、隔離された「特別法廷」で裁かれ、62年に死刑執行された。 映画は中山節夫監督の「新・あつい壁」。若いルポライターの主人公が事件に興味を持ち、取材を進める中でハンセン病への厳しい差別の歴史を知り、冤罪(えんざい)を確信していくストーリー。菊池事件の背景や問題点が分かりやすく伝わる。 事件の弁護団はいま、全国30カ所を目標にこの映画の上映運動を展開中で、この日が20カ所目。弁護団は再審決定を求める10万人の署名集めを進めている。現状は6万人程度のため、映画上映を通じて署名の目標達成も目指している。 13日は約80人が集まり、上映後に弁護士が再審請求の経過や論点を報告し、「より多くの上映会開催に協力してほしい」と呼びかけた。 死刑が執行された事件ではこれまで、再審が開始された例はなく、熊本地裁の判断が注目されている。(伊藤隆太郎、座小田英史)

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