東京大学で共同研究を続ける見返りに民間業者から性風俗店などで高額接待を繰り返し受けたとして、警視庁捜査2課は24日、東大大学院医学系研究科教授、佐藤伸一容疑者(62)=東京都文京区=を収賄容疑で逮捕した。佐藤容疑者は皮膚科の権威として知られ、民間資金を活用して共同研究する枠組み「社会連携講座」を背景にした大学と業者の癒着とみられる。 警視庁は、佐藤容疑者の下で特任准教授だった男性医師(46)も繰り返し接待を受けたとして収賄容疑で、相手側の一般社団法人「日本化粧品協会」(文京区)の男性代表理事(52)を贈賄容疑で、それぞれ任意で調べている。 佐藤容疑者の逮捕容疑は2023年3月~24年8月、大麻に含まれる成分「カンナビノイド」の作用をテーマにした社会連携講座を設置、運営する見返りに代表理事から、東京・吉原のソープランドや銀座の高級クラブでおよそ30回にわたって180万円分の接待を受けたとしている。 国立大学法人が運営する東大の教職員は「みなし公務員」に当たる。警視庁は認否を明らかにしていない。 警視庁や捜査関係者らによると、協会の代表理事は21年ごろからカンナビノイドを使った化粧品の販売を検討。東大の研究成果がその「権威付け」になると考え、22年5月に佐藤容疑者と接触し、共同研究の話が具体化していったという。 東大は23年3月、協会と社会連携講座の契約を締結。講座長には男性医師が就いたが、研究内容や方針を決める実権は佐藤容疑者が握っていた。 接待は契約締結前の23年2月から始まり、レストランでの会食のほか、今回の容疑となったソープランドや高級クラブでの遊興が繰り返されるようになったとみられる。 しかし2年ほどで両者の関係は破綻。代表理事は25年5月、佐藤容疑者らと東大を相手取り、接待に使った分を含む計4200万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴し、記者会見で「高額接待を強要された」と主張した。 一方、訴訟で佐藤容疑者は「接待を求めたことはない」と反論。部下だった男性医師は「佐藤容疑者が接待を希望し、代表理事が積極的に発案した。自分は断りづらかったが、接待を受けたことは反省すべき立場にあった」としている。いまも訴訟は続いている。 東大は25年3月末で講座を閉鎖した。「協会側の研究費の未払いなどのため」契約を解除したと説明し、外部の弁護士を含む委員会を設置して事実関係の調査を進めている。【長屋美乃里】