5億円詐欺事件、通話アプリで行動監視 佐賀地裁の公判で被害女性が証言「逮捕の言葉怖かった」

佐賀県内の60代女性が5億円以上をだまし取られたニセ電話詐欺事件を巡り、佐賀地裁で開かれている公判で3日、被害に遭った女性の証人尋問が行われた。警察官などに成り済ました人物から「逮捕する」と告げられたり、スマートフォンを通じて常に監視される状況に置かれたりするなど巧妙な手口によって何度も高額の現金を渡すようになった状況を証言した。 現金を受け取る「受け子」役などで関わったとして詐欺罪に問われた横浜市の無職の被告(71)の公判で、法廷と離れた場所を映像と音声でつなぐビデオリンク方式で証人尋問が行われた。 女性の証言によると、昨年2月、携帯電話に通信会社を装う人物から「あなたの貯金通帳やカードが勝手に作られ、長野県で詐欺が行われている」「逮捕状が出ている」などと連絡があった。その後、「長野県警のクサカ」「検事のシブヤ」と名乗る人物とやり取りをするようになった。 ビデオ通話で逮捕状のような物も示された。「優先調査に切り替えれば逮捕を回避できる。資金を拘束する必要がある」と言われ、女性は資産状況や家族構成などを伝えた。スマホのビデオ通話アプリを一日中つないだままにするよう指示され、誰かと電話をするとすぐに相手を問われるなどして「拘束された状態だった」という。 銀行や証券会社に預けている資産から現金を用意する際に「金融機関が不祥事を起こして信用できないので、自宅で管理する」と伝えるよう指示を受け、金融機関にはその通りに説明した。自宅に現金を保管する金庫も購入させられた。 昨年2〜3月、自宅に6回にわたって3人の男が現金を取りに来た。玄関でのやり取りは数分程度で、受け取るとすぐに立ち去った。ビデオ通話アプリで「調査員がこれからお金を取りに行く」「インターホンを鳴らさずにノックするので玄関で待ってて」などと告げられていた。 女性は不審に思いながらも、渡した現金は戻ってくるとの説明を受けて「それを信じていた。逮捕するという言葉が一番怖かった」と振り返った。1カ月以上にわたって翻弄(ほんろう)され続け、子どもや親の口座からも現金をかき集めた。「資産がなくなって年金だけになり、全てが変わった。子どもに迷惑をかけたことを一生悔やむと思う」。厳正な処罰を求めた。 事件を巡っては、県警はこれまで現金の受け取り役や見張り役などとみられる男6人を逮捕している。(取材班)

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