退職代行「モームリ」提携先に顧客220人不正斡旋、370万円受領か 弁護士ら書類送検

退職希望者から依頼を受け、本人に代わって勤務先に退職の意思を伝える退職代行サービス「モームリ」を巡り、運営会社の「アルバトロス」が、提携する弁護士らに依頼者約220人を斡旋(あっせん)し、紹介料約370万円を受け取っていたとみられることが5日、警視庁保安課への取材で分かった。 保安課は同日、アルバトロス社から違法に斡旋を受けたとして、弁護士法違反(非弁護士との提携)の疑いで、いずれも40代で、同社が提携する東京都内の2つの弁護士法人「オーシャン」と「みやび」の代表弁護士の男2人と、みやびの男性事務職員を書類送検した。起訴を求める厳重処分の意見を付けた。いずれも容疑を認めている。 書類送検容疑は、弁護士資格のないアルバトロス社長の谷本慎二容疑者(37)=同法違反(非弁活動)容疑で逮捕=らから、依頼者計6人の退職交渉に関する法律事務の斡旋を受けたとしている。 ■弁護士「違反回避のためのスキーム」 保安課によると、アルバトロス社は当初、法的交渉が必要な依頼は断っていたが、オーシャンの弁護士に「依頼者を紹介して紹介料を得ることは可能か」と提案。弁護士はこれに応じ、令和5年以降、依頼者の斡旋を受けて報酬を得る代わりに、同社に紹介料を支払っていた。紹介料は同社の提携先「労働環境改善組合」への「賛助金」名目としており、仮装により摘発を免れようとした可能性がある。 弁護士は「弁護士法違反を回避するためのスキームだった」とし、後にみやびも報酬額などを踏襲して斡旋先に加わった。労働環境改善組合の代表である同社の社員は、「組合に実態はなく、モームリを運営する仕組みの一部だった」と話しているという。 ■「弁護士側の意識づけも重要」 弁護士の摘発にまで発展した今回の事件。非弁提携問題に詳しい深沢諭史弁護士は、こうした斡旋行為が禁止される理由として、①紹介料が料金に上乗せされ、依頼者が不利益を被る②紹介料目当てに、事業者が不要なトラブルを起こして弁護士に斡旋する-といった恐れを指摘。弁護士にとっても、資格剝奪の可能性などリスクは大きく、「弁護士会の研修や啓蒙(けいもう)活動を充実させることが重要だ」と話す。 斡旋受け入れの背景には、「弁護士の『安定した売り上げを確保したい』という経営上の事情も考えられる」と深沢氏。弁護士は厳しい義務を負う一方で、「零細個人事業主」の側面もあるとし、「弁護士の数や、需要と供給のバランスを適切に保っていくことも今後取り組むべき課題だ」と指摘する。(橋本愛)

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