ハンセン病患者とされた男性Fさんが、1952年に起きた殺人事件をめぐり隔離施設内の「特別法廷」で裁かれ、無実を訴えながら死刑を執行された「菊池事件」の第4次再審請求で、熊本地裁(中田幹人裁判長)は1月28日、請求を棄却する決定を出した。弁護側はこれを不服とし、2月2日、福岡高裁に即時抗告した。 弁護側が最大の争点と位置づけた「憲法的再審事由」(憲法違反の裁判手続きは、それ自体が再審の理由になるという主張)について地裁は、確定判決の審理手続きに重大な憲法違反があったことがわかり、その憲法違反が事実認定に影響を及ぼし、重大な事実誤認をきたす場合は「再審を開始すべき余地があることは否定できない」との判断を示した。 だが、弁護側が憲法的再審事由の主張の中で大きな力を注いだ、一審の国選弁護人が弁護人の職務に反してFさんが有罪であるかのような弁護活動をしたという問題については、憲法違反だとは認めなかった。 地裁は確定判決の審理手続きについて、個人の尊厳を保障した憲法13条、法の下の平等を定めた14条1項、裁判の公開原則を定めた82条1項に違反するか違反する疑いがあると判断。しかし、これらの憲法の規定に適合し、公開法廷で審理したとしても、確定判決の証拠関係などに変動はなく、こうした憲法違反が確定判決の事実認定について重大な事実誤認をきたすとは認められないとしたうえで、菊池事件については「憲法違反を理由に再審を開始すべきであるとは認められない」と結論づけた。 また、弁護側が新証拠として提出していた、凶器とされる短刀や親族の供述をめぐる二つの鑑定書については、明白性がないなどとして退けた。