大津市で令和6年、保護司の男性が殺害された事件で、殺人や公務執行妨害などの罪で起訴された飯塚紘平被告(36)の裁判員裁判が17日、大津地裁で始まる。男性は別事件で保護観察中だった被告の更生支援を担当しており、事件に至った経緯や動機の解明が焦点となる。事件を受けて保護司の安全確保が議論されたが対策は道半ば。専門家からは、法務省職員である保護観察官が保護司と連携を強化すべきだとの声が上がる。 起訴状によると、被告は6年5月24日夜、大津市の新庄博志さん=当時(60)=宅で、新庄さんの胸や首をナイフやおので刺すなどして殺害したとしている。逮捕当初は容疑を否認。大津地検は刑事責任能力を調べる鑑定留置を経て、同年11月に起訴した。裁判では責任能力も争点になるとみられる。 県警や保護観察所などによると、被告はコンビニ強盗事件を起こし、令和元年に大津地裁で保護観察付きの執行猶予判決を受けた。新庄さんは保護司として被告の支援を担当しており、面談中に襲われたとみられる。 保護司は近年、高齢化やなり手不足が課題となっている。全国の保護司は約4万6千人(昨年1月時点)で平均年齢は65・4歳。20年間で約3千人減少したが、事件の影響で、なり手不足に拍車がかかることが懸念されている。内閣府などによる昨年の世論調査では、保護司を引き受けたくないとの回答が86・4%に上り、理由(複数回答)の中では「自分や家族の身に何か起きないか不安」が45・2%だった。 国は昨年12月成立の改正保護司法で、1期2年の任期を3年に延長するとともに、安全環境の整備を国の責務と規定。自宅以外の面談場所の確保や担当保護司を複数にするといった安全対策も取り入れた。ただ、対象者と距離を置くことは、罪を犯した人の社会復帰に寄り添うという保護司の役割を妨げかねない。 保護司の安全確保を巡り、元保護観察官で龍谷大法学部の浜井浩一教授(犯罪学)は、保護観察官が刑務所の出所者らを分析し、保護観察が適当かを見極める「アセスメント」が重要だと強調。「保護観察官が『危険』と判断すれば、保護司に担当させるべきではない」と話す。 刑事裁判の判決で保護観察を付けるかどうかの判断に保護観察官が介在することはできないが、国は事件を受け、保護観察付き執行猶予が確定した対象者には一定期間、保護観察官が対応することを明文化した。