「守護神様の声」主張 弁護側は被告の責任能力争う方針 保護司殺害

2024年5月に大津市の民家で保護司の新庄博志さん(当時60歳)を殺害したとして、殺人と公務執行妨害罪、銃刀法違反に問われた大津市の飯塚紘平被告(36)は17日、大津地裁(谷口真紀裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で、起訴内容を認めた。「守護神様の声に従ってやりました」と述べた。弁護側は「行動制御能力が著しく欠けていた」として刑事責任能力を争う方針を示した。 被告は24年5月24日夜、新庄さんの自宅で、新庄さんの胸や首をナイフとおので切りつけ、出血性ショックで死なせたとされる。 検察側の冒頭陳述によると、別の事件で保護観察付き執行猶予判決を受けた被告は、19年7月から保護司と定期的に面談することになり、新庄さんが担当として選ばれた。月2~3回会って助言を受けながら働いたが、仕事は長続きせず、「職に就けないのは政府が悪い」と不満を募らせるようになった。 被告は担当保護司を殺害して保護観察制度に打撃を与え、政府に報復しようと考えるようになり、面談時に新庄さんを殺害することを計画。事件当日、ナイフとおのを隠して新庄さん宅を訪問した。 面談が始まり、一度は犯行をためらったものの、トイレで改めて実行を決意し、椅子に座っていた新庄さんの背後から襲撃した。新庄さんは「やめとけ、なんでや、なんでこんなことするんや、社会に戻るんやろ」と制止したが、被告は無視したという。 検察側は、被告には完全責任能力があったとした上で「事件の本質は保護観察制度への攻撃だ」と強調。計画性や残虐性、被告の更生の可能性を踏まえて刑を決めるべきだと訴えた。 新庄さんの首と胸にそれぞれ10カ所以上の傷があったことや、被告が事件から4日後に現行犯逮捕された際、警察官に「死刑にしないでくれ。革命を起こした」と話したことも明らかにした。 弁護側は冒頭陳述で、被告が中学生の頃にいじめに遭い、心の中で声が聞こえるようになったと主張した。被告は心の声を「守護神様」として崇拝し、新庄さんの殺害を考えるようになった際も、「『これは私の考え、チャンスを逃すのは負け犬だ』とする守護神様の声を聞いた」とした。 公判は24日に結審し、判決は3月2日に言い渡される。【礒野健一、菊池真由、飯塚りりん】

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