大阪・道頓堀で17歳の少年3人が刃物で刺されて死傷した事件は21日で発生から1週間。殺人容疑で逮捕された無職、岩崎龍我(りょうが)容疑者(21)=大阪市住吉区=は現場に近いグリコ看板下の遊歩道、通称「グリ下」に、頻繁に出入りしていた。グリ下周辺では若者の滞留や犯罪に巻き込まれるのを防ぐため、ハード・ソフト両面で対策が進められてきたが、いまだ若者を引き寄せる現状が浮かんだ。 事件は14日深夜に発生。捜査関係者によると、直前に岩崎容疑者が被害者側の知人女性に迷惑行為をしたのが発端とみられる。容疑者と少年らはグリ下で接触した後、近くのビルへ移動。そこで注意を受けた容疑者が逆上し、3人を次々と襲った可能性がある。 死亡した少年の友人は「グリ下の話題は聞いたことがない」と話すが、岩崎容疑者の方は常連ともいえる存在だった。 刃物を持ち歩く姿も目撃されており、「キレたら手がつけられない」と怖がる人も。一方で同じくグリ下に出入りする少女(15)とは「お兄ちゃん」「シスター」と呼び合うほどの信頼関係を築いていた。 グリ下を巡っては居場所のない未成年者や若者が滞留し、そこでの勧誘などをきっかけに性的に搾取される事件も発生。大阪市や大阪府警が支援団体とも協力しながら、非行防止の対策を行ってきた。 令和5年に防犯カメラが設置されたほか、昨年3月には若者らが座り込んでいた場所を覆う塀も設けられた。 ハード面だけではなく、大阪市は一時的に食事や住居を提供する支援事業も実施。NPO法人も週2回、グリ下近くに食事や仮眠場所を提供するユースセンターを開設している。大阪府警も毎日のようにパトロールし、未成年者に帰宅を促すなどしている。 ただ、グリ下に出入りする男性(17)によると、塀の設置後も道頓堀川を挟んだグリ下の対岸や、川沿いの少し離れた場所で、未成年者が酒を飲んだりオーバードーズ(市販薬の過剰摂取)に手を出したりする状況が続いているという。 ある女子中学生(15)はSNSで同世代の男女がグリ下で交流する姿を見て、昨夏から足を運ぶようになった。学校での人間関係になじめず不登校になっていたが、「自分と同じ境遇の子がいて共感してくれる」と語る。