社説:ロシアの非道4年 秩序回復への和平諦めるな

ロシアによるウクライナ侵略は、あすで4年になる。 国際法を無視した大国の蛮行が、これほど長期に及んでいることは痛恨である。早期終結への国際協調を一段と強めねばならない。 米国の仲介による和平交渉が継続しているが、合意は見通せていない。最大の課題は、ウクライナの領土保全と、ロシアの再侵攻を防ぐ安全保証である。 和平仲介を成果として急ぐトランプ米大統領は、ロシアが占領したウクライナ東部ドンバス地域に、非武装の「自由経済地域」設置を提案する。 一帯ではロシアの行政、教育導入などが進むが、侵略国の「力による現状変更」を認めることは国際秩序に致命的な打撃となり、将来に禍根を残す。 ロシアは、東部ドネツク州などウクライナの約2割にあたる領土の制圧を続ける。戦闘は膠着(こうちゃく)状態ながら、エネルギー施設などの破壊で、厳寒期の人命を脅かしている。 米シンクタンクの推計では、侵攻が始まった2022年2月から25年末までの戦死者は、ウクライナ軍10万〜14万人、ロシア軍27万5千〜32万5千人に上る。両軍死傷者は今春、200万人に達する可能性がある。 民間人の犠牲は国連人権監視団の報告で、25年だけで2514人に上り、22年に次ぐ多さになった。前年より3割増え、4年間で計1万5千人に及ぶ。 4年間で約2万人以上とされる子どもの連れ去りも非道極まりない。ロシア語習得や思想教育、軍事訓練を行っており、国連は昨年12月、ロシアに即時、無条件の帰還を求める決議を採択した。国際刑事裁判所は、連れ去りが戦争犯罪にあたるとプーチン大統領に逮捕状を出している。 だが、トランプ氏はロシア寄りの姿勢が目立つ。欧州や身内の共和党から批判を受けて修正するなど、仲介者としての適格性は疑問が尽きない。 欧米首脳らが参加するドイツの「ミュンヘン安全保障会議」では、ゼレンスキー大統領が「ウクライナ側だけが妥協を求められている」と訴えた。 米国のウクライナ支援はトランプ政権発足後に途絶しており、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が米兵器を購入して供与する枠組み「ウクライナ優先要求リスト」で支援を続ける。 日本は4年間で累計3兆円に及ぶ非軍事の民生支援や地雷除去など、復興支援に注力してきた。リストに参加する姿勢もみせるが、慎重な議論が要る。 ロシアも疲弊は否めない。経済制裁により、物価高騰や金利上昇が続いている。若者の流出も長期的に国力低下を招こう。 国際社会はウクライナの主権や安全を明確に担保した上で、和平の道筋を描き、法による秩序の回復へ結束すべきである。

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