福岡市早良区の市総合図書館で男女3人が刺されるなどした事件で、殺人未遂容疑で逮捕された無職、吉井辰夫容疑者(61)=同区西新5=が「約2年前に仕事を辞めた後、貯金を取り崩して生活をしていたが、現金が底を突いた。生活が苦しく、どうでもよくなり、誰でもいいので殺したかった」という趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で判明した。 吉井容疑者に収入はほぼなかったが、生活保護は受給していなかったという。福岡県警は、自暴自棄になった容疑者に被害者が巻き込まれた可能性もあるとみて、全容解明を進める。 県警は26日、吉井容疑者の自宅を家宅捜索した。刑事訴訟法は捜査当局が家宅捜索を実施する際、関係者の立ち会いを求めており、家族や管理人が担うケースが多いが、今回は容疑者本人が立ち会った。県警は午前10時ごろから約2時間捜索し、携帯電話や預金通帳など17品目39点を押収したという。 事件は閉館間際の19日午後7時50分ごろ、図書館1階で発生。トイレから出てきた吉井容疑者に、紙媒体を読んでいた来館者の男性(84)が腹を刺された後、同じく来館者の女性(50)が首を切りつけられ、男性警備員(74)が手に切り傷を負いながら容疑者を取り押さえたとされる。 捜査関係者によると、吉井容疑者は「自宅から徒歩で図書館に行った。リュックの中に包丁を入れて入館した。トイレで包丁を出した」と説明。女性を切りつけた理由などについては「男性を刺した後、逃げるために無我夢中で出入り口に向かった。逃げた方向に女性がいたので切りつけた」と供述しているという。 また、事件後に吉井容疑者の呼気を調べたところ、アルコールが検知されていたことも判明した。【川畑岳志】