山形県内のアパートで生まれたばかりの赤ちゃんの遺体を隠したとして逮捕されていた30代の母親が、殺人の疑いで再逮捕されるという事件が起きた。 厚生労働省によれば、平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間に発生、または表面化した子ども虐待による死亡事例72例のうち、心中以外の虐待死は56例であり、そのうち約半数の28例が「0歳児」であった。そして56例のうち、主たる加害者の半数以上に当たる30人(52.6%)が「実母」だったという。 「上記の事例にはもちろんさまざまなケースがありますが、予期せぬ妊娠により、誰にも悩みを打ち明けることができないまま出産に至り、どうにもならず赤ちゃんを手にかける母親の事件は後を絶たない状態です」 こう話すのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。 「わが国では現在、男女の肉体差や生殖の仕組みだけに留まらず、性の多様性やジェンダー平等といった幅広いテーマを含めた『包括的性教育』を推進する動きが見られています。 これらはもちろん重要ですが、まずは幼いうちから性被害に遭わないための教育、そして避妊に対する正しい知識を子どもたちに授けることは喫緊の課題といえるでしょう」 今回取材に応じてくれたのは、20代女性のCさん。CさんはSNSで知り合った男性の子を身ごもり、誰にも相談できず、未受診のまま孤独に陥った経験がある。取材内容を編集することを条件に、そのいきさつを聞いた。 「21歳になった頃、SNSのフォロワーだったある男性と仲良くなりました。推しが同じで話が合い、個別にやりとりしているうちに惹かれていったんです。私の父親がとても厳しかったため、そのことについても相談するようになり、どんどん親密になりました」 SNSで距離を縮めた相手は、電車1本で行き来ができる地域に居住していることが判明。2人はいつしか、実際に会う約束を交わし、交際を始めることに… 「SNSではお互いに知らない者同士という気楽さがあり、誰にも言えなかったことでもその人には話すことができました。父が母に暴力をふるい母が家を出てしまったこと、父が怖くて、それ以後も反抗できなかったこと…。彼はとても親身に話を聞いてくれました」 相手はCさんと同じ大学生だと言っていたが、実際に会うと30代くらいに見えたという。 「『ごめん。本当は会社員なんだよ』と言われましたが、当時の私にはそのことはそれほど大きな問題に思えませんでした。愛していたので避妊を相手に任せていましたが、専用具を使わない不十分な対応をされ、交際半年ほどで妊娠してしまったんです」 相手の男性は「結婚しよう。産んでほしい」と言い、Cさんは『父親にバレたら何をされるかわからない。お母さんはベルトで殴られてた。最恐の父親なの」と意見したが、男性は「僕が守る。いま部屋を探してるから、契約したら家を出るんだよ」とCさんを説得した。 Cさんは彼の言葉に救われたが、そのやり取りを最後に男性と音信不通になってしまい、産む選択も難しくなった。 「気づいたら『お母さん、あたし堕ろしたら地獄に落ちるかな。助けてお願い』とひとりごとを言っていました」とCさん。 結局、誰にも相談できないまま中絶手術リミットが気になり始め「女性相談支援センター」に電話することを決意。行政や病院などのサポートを得るとともに、粘り強く相手男性に連絡を続け、中絶手術の同意を得たという。 【関連記事】「お母さんなの?」中学1年の時に家を出た母からの電話。孤独に泣いていた女子大生に母がかけた「まさかの言葉」とは ※本記事で使用している写真はイメージです 【取材協力】平塚俊樹:危機管理コンサルタント【聞き手・文・編集】佐原みすず PHOTO:Getty Images【出典】厚生労働省:子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第17次報告)の概要