全国唯一の特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)トップで総裁の野村悟被告(79)=殺人罪などに問われ1審で死刑、2審で無期懲役、上告中=が今月に入り、他の暴力団組織に「引退」を伝えていたことが捜査関係者への取材で判明した。情報を把握した福岡県警が真偽を含めて慎重に確認を進めている。 野村被告は2023年9月27日に福岡高裁で開かれた控訴審の被告人質問で「総裁を辞め、会との関係を断ち切る」と述べていた。ただ、捜査関係者によると、その後も組員らが拘置所での面会を繰り返すなどしており、県警は野村被告が会への影響力を引き続き保持しているとみて動向を注視していた。 県警は、工藤会が今月に入ってから複数の他団体に電話で「引退」を伝達したとの情報を把握。引退が真実だった場合、工藤会トップの変更を官報で公示するが、刑事裁判を有利に進めるための「偽装引退」の可能性もあることから情報を精査している。 野村被告は、11年7月に4代目会長から総裁に退いた後も事実上のトップであり続けてきた。14年9月以降、市民を相次ぎ襲撃した4事件の首謀者として殺人容疑などで逮捕、起訴され、1審・福岡地裁(21年8月)で死刑判決を受けた。ところが、2審・福岡高裁判決(24年3月)は4事件のうち、唯一の殺人事件を無罪とした上で無期懲役としたため、検察側と野村被告側の双方が上告し、最高裁で審理が続いている。