【解説】加害者が受診勧告拒否 強制力ない“法的限界”浮き彫りに 警察9回相談・勤務先変更指導も…池袋ストーカー殺人

東京・池袋のサンシャインシティで起きた殺人事件。 死亡したポケモンセンターの店員・春川萌衣さん(21)と広川大起容疑者(26)は元交際関係でした。 なぜ、事件を防げなかったのか。 今後、このような事件を未然に防ぐためにはどんな対策が必要なのか。 平松秀敏解説副委員長と見ていきます。 まずは事件に至るまでの経緯を改めて見ていきます。 2人は2025年7月に交際を解消していたということですが、2025年12月25日に春川さんが「元恋人に付きまとわれている」と警察に相談、その日に広川容疑者がストーカー規制法違反で逮捕されました。 そして、2026年に入り1月29日には広川容疑者に対して接近禁止命令が出ていて、1月30日に略式起訴で罰金80万円を払い釈放されました。 そして3月26日夜、事件が起こってしまったということです。 青井実キャスター: まず、このような経緯がある中で、結果として事件が起きている。罰金80万円で釈放。この対応どう見たらいいですか。 フジテレビ・平松秀敏解説副委員長: 3つの容疑がかけられているにもかかわらず略式起訴。警察というのは過去の判例や同じような事件の相場を考慮して、恐らく略式起訴にしたんだろうと思うのですが、私の個人的な感想では軽すぎる。なぜなのかですが、実は、現場で日々ストーカー事案に向き合っている警察と、検察の間では危機意識という面では少しずれがあるんです。現場でストーカー事案をいつも扱っている警察官はそれぐらい、これは命に関わるかもしれないとそういう思いが強いですから。そこが検察とはちょっと違うんだと思います。 そして、警察の対応についても見ていきたいと思います。 警視庁は、春川さんに対して全部で9回対応をしていたということです。 防犯カメラの設置や容疑者との接触がないか複数確認した他、引っ越しやアルバイト先を変えるということも指導したということです。 仕事に関しては、ポケモンセンターで働くのが夢だったと春川さんは話をしていたということです。 更に、広川容疑者側に対しては受診やカウンセリングなどを勧めましたが拒否をされたですとか、実家に戻った容疑者の保護者に対して監護監視を依頼しましたが、結果的には食い止めることができなかった。 宮司愛海キャスター: こうした対応は、警察側は十分だったといえるでしょうか。 フジテレビ・平松秀敏解説副委員長: 結果として亡くなっていますから、十分だとは言えないんですけれども、この対応を全部見てみると、警視庁としてはやれる範囲のことをやるべきことをやったと評価していいと思うんです。警視庁はバイト先、仕事を変えるようにそこまで指導している。ただ、ポケモンセンターで働くのが夢だったという被害者が、勤務先で亡くなるのは本当に残念でならないと思います。 青井実キャスター: どうすれば未然に犯行を防げたのかを考えなければいけないのですが、どうですか。 フジテレビ・平松秀敏解説副委員長: やはり医療機関への受診依頼と監護監視、この2つが非常に気になるところですね。ストーカー事案というのは内面に精神的な課題が潜んでいますから、今回実際に警視庁は広川容疑者に精神科への治療を受けてはと要請した。ところが本人に拒否されたと。そして監護監視。警視庁は釈放後、母親に対して広川容疑者の生活を監視・監督してほしいと要請している。ところが、結局は事件が起きてしまった。ストーカー治療と監護監視ですが、いずれにしても強制力がないですから、やっぱり限界があるんだと思いますね。 青井実キャスター: 強制力を持たせるような議論はしていたんでしょうか フジテレビ・平松秀敏解説副委員長: 例えばストーカー治療受診依頼についてなんですが、強制力を持たせてはどうだという議論がずっと続けられている。ところが、憲法上の内心の自由だとか身体の自由によって、本人の同意なく治療を受けさせるというのは重大な人権侵害なんだということで強制力を持たせることができていない。ただ、例えば執行猶予の代わりに医療機関を受診させるだとか、そういう制度設計というのはできると思うんです。 宮司愛海キャスター: 現行の制度では被害者側の防御はいろいろ整備は進んでいると思いますが、加害者側へのアプローチをもう少し強められたりしないのでしょうか。 フジテレビ・平松秀敏解説副委員長: そのとおりなんです。日本のストーカー対策は、被害者を逃がす支援に重きが置かれています。ただ、なんで被害者が逃げなきゃいけないんだという意見は根強いです。被害者を逃がすんじゃなく加害者を縛る支援にシフトすべきだというそういう意見は根強いです。 SPキャスター・柳澤秀夫氏: 強制力の話が一つポイントなのではないかと思いますが、警察の中で、直接対応している部署ではないところから、その対応の仕方が果たして本当に十分かどうかということを同じ組織であっても、第三者でもチェックして、これで本当にいいのかどうか客観的に評価できるような仕組みはできないものかなという気がしますね。 仕組みという意味では海外ではストーカーの加害者などに対して釈放後、GPSをつけたり監視をする国もありますよね。 韓国では2024年から、有罪判決が出る前の捜査段階であっても再犯の恐れが高い加害者に対して検察が電子足輪などのGPS装着を命じることが可能になりました。 このGPSの装着によって当局が24時間態勢で接近を監視していると。 更に、自動通知システムで加害者が被害者の一定範囲内に侵入すると、被害者のスマートフォンに自動的に警告テキストが送信されるということです。 この対策を行ったことで、2025年9月末時点で装着を義務付けられている人が約4600人ほどだったのですが、統計のある性犯罪では電子足輪の導入によって再犯率が9分の1にまで減少したデータがあります。 宮司愛海キャスター: こうやって見てみると、日本でもこういう対策をしないといけないですよね。 SPキャスター・柳澤秀夫氏: 明らかに効果がありますよね。日本でもGPSについては事あるごとに議論は出てきますが、一歩踏み込んで本当にどうなのか、というところまで議論が至っていないところがあるので、そこは真剣に議論をすべき時期に来ていますよね。 宮司愛海キャスター: 何人の方が亡くなればいいんだろうと思わざるを得ないですね。 青井実キャスター: 規制を強めていく、未然に防いでいくべきこと、どんなことだと思いますか。 フジテレビ・平松秀敏解説副委員長: 柳澤さんがおっしゃったように、日本でも保釈制度で被告の海外逃亡を防ぐためにGPSを活用する制度ができたので、それをストーカー事件に活用するということが十分にできると思います。あともう一つ、日本のストーカー対策は実は現場の警察官の頑張りで成り立っています。ただそれには本当に限界がある。だから、警察の役割を補完するシステムや制度が必要、そのためのGPS監視だったり、ストーカー治療なんだと思います。いま、大胆な見直しが必要だと思います。 法律とか仕組みの話だけでなく人の命に関わる話なんだということを、我々は胸に留めなければいけないと思います。

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