インタビュー「戦略的に不可欠な技術の軍民両用を日本の常識に」 甘利明・自民党元幹事長

米国とイスラエルによるイラン攻撃を発端とするエネルギー不安や中国のレアメタル禁輸などを受け、経済を巡る安全保障に関心が高まっている。経済安全保障法制の整備に尽力した甘利明・自民党元幹事長に話を聞いた。(聞き手:稲留正英/安藤大介/和田肇・編集部) ── 経済安全保障とは何か? ■一言で表せば、「経済をウエポナイズ、武器化する」ということだ。まさにそうだと感じたのが、2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件の時だ。海上保安庁の巡視艇に、中国の漁船が体当たりした。当然、船長を公務執行妨害で逮捕・勾留した。それに対し、中国側が激しく反発し、レアアースの輸出禁止を政治的な圧力として用いてきた。当時の民主党政権は司法手続きを中断し、政治的な配慮で、船長を帰国させた。 20年の新型コロナウイルスのパンデミックの際は国内で医療用のマスク、ガウン、手袋が不足した。中国は、日本が中国の工場に手配していたマスクを全部回収し、マスク外交に使った。医療現場などのエッセンシャルワークに必要な物品を途絶させれば、一国の経済は簡単に崩壊する。当時、私は「日本を殺すにミサイルはいらぬ。マスク一つもあればいい」と言った。 ── 戦略的な物資が一国の死命を制すると。 ■従来の貿易は、「良いものをより安く作る」サプライチェーンを構築することが原点だった。これに対し、「経済安全保障」でスクリーニングを掛けると、「良いものをより安全(安定的)に調達する」というサプライチェーンになる。 レアアースのような戦略物資やエッセンシャルワークの現場に必要なものは、経済安保のスクリーニングに掛けた方がよい。そこで、22年に私が主導し、経済安全保障推進法(以下、推進法)を制定、サプライチェーン上のリスクを洗い出し、半導体、レアメタルなどの特定重要物資11品目と、電力・ガスなどの基幹インフラ15分野を定めた。 ◇最重要インフラは電力 ── 基幹インフラでは電力が筆頭に置かれている。

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