昨年12月、埼玉県狭山市の国道で男性(当時25)が死亡し、車を運転していた男が過失運転の罪で起訴された事件をめぐり、4月24日に予定されていた初公判の日程が取り消された。男性の遺族側が2日、さいたま市内での会見で明らかにした。検察側は、危険運転の罪を適用できるか改めて検討するとみられる。 過失運転の法定刑の上限は拘禁刑7年、危険運転だと同20年。遺族らは3月25日に危険運転罪への訴因変更を求めて4万7千筆を超える署名を地検に提出していた。 遺族らの会見によると、署名提出の翌日、検察側から、「捜査が不十分だった」などとして主担当がさいたま地検川越支部の副検事から同地検本庁の検事になるという趣旨の連絡を受けたという。 事故で亡くなったのは狭山市の森口和樹さん。昨年12月22日未明、市内の国道16号の横断歩道を渡っていた際、車にはねられ、死亡した。 県警によると、車を運転していた市内の塗装業、阪元昊(そら)被告(20)は約2時間後、道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で現行犯逮捕された。その後、赤信号を無視し、制限速度を50キロ以上超過して事故を起こしたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで再逮捕。だが、地検川越支部は1月下旬、量刑が軽い過失運転致死に罪名を切り替えて起訴した。 会見で母の美智代さん(54)は「今後、私たちは待つだけだが、今回の検察の判断を前向きにとらえたい」と語った。 これまで、大分市で2021年、時速194キロの車が男性をはねて死亡させた事故や、群馬県伊勢崎市で24年、飲酒運転の車による3人死亡事故で、過失運転罪で起訴された後、危険運転罪に訴因変更された例がある。大分市の事故をめぐっては1月の二審・福岡高裁判決が危険運転罪の成立を認めずに過失運転罪を適用。検察側が最高裁に上告した。(染田屋竜太、折井茉瑚)