警察官を装った特殊詐欺で今年に入り、ニセ逮捕状がレターパックで郵送され、多額の現金がだまし取られる被害が各地で相次いでいる。 SNSに不慣れな高齢者を狙った手口とみられ、警察は「逮捕状を送ることは決してない」と注意を呼び掛けている。 愛知県警によると、名古屋市緑区の女性(78)は2月、自宅に警察官を名乗る人物から突然電話があり、「犯罪収益の送金を受けたことであなたに逮捕状が出ている」などと言われた。3日後、「逮捕状」と題した書類1枚がレターパックで届いた。被疑者欄に女性の名前と生年月日、住所があり、罪名は組織犯罪処罰法違反と犯罪収益移転防止法違反と記載されていた。「最高裁裁判官」が「東京中央署」の請求で発付したとされ、一部の漢字は中国で使われる簡体字だった。 女性は本物だと信じ込み、指示通り自宅郵便受けの下に現金を置き、計約2700万円をだまし取られた。さらに約1000万円を要求されたが、金融機関の通報で警戒していた捜査員が現金を受け取りに訪れた台湾出身の男(22)を詐欺未遂容疑で逮捕した。男は「SNSで荷物を受け取る仕事を見つけた」と話している。 ニセ逮捕状は愛知県内で1~4月に30件以上相次いだほか、岐阜県など各地で確認されている。ビデオ通話に誘導し警官を装った人物が登場して相手を信じ込ませる手口が多く、愛知県警幹部は「SNSに誘導できない高齢者にはニセ逮捕状を送り付け、信ぴょう性を持たせているのだろう」と話す。 警察庁によると、昨年1年間のニセ警察詐欺の認知件数は1万件を超えた。被害額は985億円に上り、特殊詐欺被害額の約7割を占める。今年4月には愛媛県の資産家の80代女性が約12億円をだまし取られる被害も発覚した。同庁幹部は「犯人側はいろいろ理由を付けて誰にも言わないように言ってくるが、必ず家族や警察に相談してほしい」と強調する。