家の中には、犬猫の死体や汚物が至るところに放置されていた。「足の踏み場もなかった」と捜査員は振り返る。 それが「本来あるべき人間との共生」をうたう動物愛護団体の活動拠点だったという。 「物言えぬ動物たちを救う」「行き場を失った犬たちを保護」 掲げた理念の裏側で、動物たちは劣悪な環境に置かれていたとみられている。 ◇「多頭飼育崩壊」か 保護した犬や猫39匹を死体や汚物が散乱した自宅で飼ったとして、警視庁保安課は22日、動物愛護団体「保護犬猫の家 ななちゃんのおうち」代表理事の丸ノ内留実容疑者(47)=東京都品川区豊町5=を動物愛護法違反容疑で逮捕したと発表した。「片付けるのがばかばかしくなった」と供述しているという。 警視庁や団体のホームページによると、丸ノ内容疑者は、飼育放棄された動物を保護して新たな飼い主に引き渡す活動をしていた。寄付や譲渡金を資金にして自宅や近くの団体施設で最大70匹を飼っていたが、実際には動物が多すぎて世話ができない「多頭飼育崩壊」を起こしていたとみられる。 住民の苦情を受けた品川区が立ち入り検査に出向いたが、拒否されたため2025年12月に警視庁へ相談。2月に捜査員が訪ねたところ、餌や水を与えられず衰弱した犬や猫が見つかったという。 ◇19匹は病気や傷も 逮捕容疑は4月27日、動物の死体や排せつ物を放置した自宅で、犬29匹と猫10匹を飼育。うち犬17匹と猫2匹には目の病気や出血する傷があったが、手当てをせずに虐待したとしている。 丸ノ内容疑者は「経験上、すぐに病院に行く必要はなかった」と供述。「専用トイレを置いても何度も破られるので、片付けるのがばかばかしくなった。火葬費用も高く、餌代を優先するために死体を処理せず放置した」と説明している。【洪玟香】