甲山事件の冤罪被害者、自らの苦悩語る 関西テレビで29日放送

兵庫県西宮市の知的障害児施設「甲山(かぶとやま)学園」で園児2人が死亡した「甲山事件」で、事件から25年を経て無罪が確定した山田悦子さんに密着したドキュメンタリー番組「ザ・ドキュメント 冤罪(えんざい)・甲山事件 山田悦子 半世紀の闘い」が29日深夜1時15分から、関西テレビで放送される。事件発生から52年。山田さんのインタビューや再現VTRなどで事件を振り返りながら、日本の刑事司法やメディアのあり方を問う。 番組では山田さんが「これまで拒否してきた」というテレビカメラの前で、自らの歩みを語る。1974年、甲山学園の浄化槽から児童2人の遺体が発見された。警察は殺人事件として捜査し、当時22歳の職員、山田(旧姓・沢崎)さんを男児の殺人容疑で逮捕する。 山田さんは一貫して無実を訴えていたが、長時間に及ぶ取り調べや心理的圧力の中で自白。しかし、その後に自白を撤回し、不起訴となる。だが78年、検察は同じ容疑で山田さんを再逮捕し、山田さんのアリバイを証言した関係者まで偽証罪で逮捕。裁判では、事件から3年後に元園児たちが語り始めた証言が「新証拠」として扱われ、山田さんと弁護団は厳しい法廷闘争を強いられた。 番組では、当時の関係者を訪ねるなどして捜査の正当性を検証し、山田さんを支え続けた一冊の法学書を紹介する。同じく冤罪(えんざい)被害者である男性と山田さんの対話も収録。山田さんは「冤罪の傷は消えない」と苦しい胸の内を語る。 制作した上田大輔ディレクターは、これまで司法を題材にしたドキュメンタリー番組を数多く手がけてきた。「いろいろなことが複合的に重なった、日本社会の縮図のような事件だと感じている。法や人権、人間の尊厳とは何かを考えさせられる番組になると思う」と語った。 TVerなどで配信も予定している。【谷口豪】

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