“4隻の船がいずれも砲らしきものを搭載して領海に侵入するのは初めてのケース” こう伝えられたのは、今年6月のことです。沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に砲のようなものを搭載した中国海警局の船4隻が侵入しました。 その後、同様の事案は10月にも発生。 海上保安庁の瀬口良夫長官は今月18日の定例記者会見で「6月以降、砲のようなものを搭載した中国海警局に所属する船舶4隻の領海侵入が相次ぐなど、情勢は依然として予断を許さない厳しい状況にある」と述べました。 ■中国の“サラミスライス戦術” 尖閣諸島周辺めぐる中国公船の動きは、サラミを薄くスライスするかのように少しずつ現状変更の試みを継続していることから、“サラミスライス戦術”とも呼ばれます。数年前からは領海侵入の際に日本の漁船を追いかけようとする動きも見せるようになりました。 はじまりは2008年12月。中国国家海洋局に所属する船舶2隻が、突如して尖閣諸島周辺の領海に侵入した事案でした。そして、2010年9月には、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生します。 中国漁船の船長は公務執行妨害の疑いで逮捕されますが、これに中国側が猛反発。那覇地方検察庁は、船長を釈放するという異例の決定をしました。菅総理は国会で「捜査に対する介入ということは一切なかった」と答弁していましたが、船長の釈放をめぐっては政府の介入があったのではないかという疑問の声が上がっていました。 当時、外務大臣だった前原誠司議員は、一連の出来事について、中国が強硬で好戦的な姿勢をことさらに示す外交スタイル、いわゆる「戦狼外交」を強めるきっかけになったのではないかと話します。 ■どうなる2025年の尖閣諸島巡る情勢? 日本政府は「尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」とした上で、「領海内で独自の主張をする中国海警船の活動は国際法違反で、断じて容認できない」と、中国側に抗議し続けています。