イスラエルの監視技術企業Cellebrite(セレブライト)は2021年、ロックされた携帯電話に侵入し迅速にデータを抽出できる同社技術について、今後ロシアに販売しないと発表した。当時同社は、激しい批判の渦中にあった。2020年末にロシア政府がこの技術を使ってリュボフ・ソボルの端末を解析していたためだ。ソボルは著名な野党系の活動家で、アレクセイ・ナワリヌイの盟友でもある。 しかし、販売停止措置が施行されてから数カ月以内に、モスクワの捜査当局はセレブライトの技術を使い、ロシアの野党政治家アンドレイ・ピボバロフのiPhoneを解析していた。トロント大学のCitizen Lab(シチズン・ラボ)による分析と、ピボバロフの弁護団が保有する記録がそう示している。 ソボルの件から間もない時期に、ロシアが別の著名な活動家を標的にセレブライトの技術を使い続けていた。この事実は、同社がクレムリンによるデータ抽出機器の使用を遮断できなかったことを示唆する。セレブライトが自社製品を完全にコントロールできていない兆候はこれが初めてではない。2022年には、イスラエル紙ハアレツが、クレムリンの捜査当局がセレブライトのツールを使用したと公然と述べたと報じた。 ■セレブライトは取材に答えず、ロシア当局による使用を「無許可」と反論 セレブライトはForbesの問い合わせに直接回答しなかった。その代わり、最高マーケティング責任者(CMO)のデビッド・ギーがCitizen Labと、ピボバロフを支援する非営利団体Access Now(アクセス・ナウ)に宛てたメールをForbesおよび他媒体に共有した。ギーはそのメールで、報告書が公表前にセレブライトへ提供されなかったことに不満を示した。 「2021年3月以降にロシアで使用されたセレブライトの旧式ハードウェアは、完全に無許可のものである」とギーは書いている。「2021年3月以前に販売されたセレブライトのハードウェアは、現在の最新デバイスとは互換性がなくなっているはずで、当社の技術サポート、当社の同意、またセレブライトによるいかなる法的承認もないまま動作していることになる」。同社は米国、EU、英国、またはイスラエルにより制裁対象とされた国には販売しないとも述べた。