腎臓を患った70代男性にカンボジアでの移植手術をあっせんし、対価として1236万円を受け取ったとして、警視庁などの合同捜査本部は7日、NPO法人「難病患者支援の会」(認証取り消しにより解散)元理事、菊池仁達(ひろみち)容疑者(66)=横浜市都筑区中川3=ら3人を臓器移植法違反(有償あっせん)容疑で逮捕した。他にも複数人が対価を支払って海外での腎臓移植をあっせんされ、実際に手術を受けていたという。 菊池容疑者は別の臓器移植あっせん事件で2023年3月に起訴され、既に懲役8月の実刑判決が確定している。26年1月末に収容されるまで2年半保釈されており、その間に今回の移植をあっせんしていたとみられる。 警視庁によると、他に逮捕されたのは、一般社団法人「国際医療相談室」代表理事の安藤貴樹(66)=東京都世田谷区北沢5=と、菊池容疑者の長男で会社員の充(42)=横浜市港北区新横浜1=の両容疑者。 逮捕容疑は25年11月~26年1月、東京都内の70代男性にカンボジアの病院で腎臓移植手術を受けさせ、あっせんの対価として計1236万円を受け取ったとしている。300万円は事務手数料、936万円は謝礼金名目とされる。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。 ◇連絡は相談室のサイトから 相談室は24年3月に設立され、実質的な運営は菊池容疑者が担っていた。ホームページには「海外腎臓移植への希望を」「人工透析からの離脱を目指して」などと記載し、移植希望者を募っていた。 患者の男性は十数年前に腎臓を患った。国内でドナー(提供者)を探したが見つからず、25年8月に相談室のサイトを見て連絡を取った。その後、23年に菊池容疑者が逮捕された事件や移植の有償あっせんが違法であることを知ったが、そのまま相談や依頼を続けたとみられる。 男性は26年1月にカンボジアへ渡航し、菊池容疑者らから紹介された中国人コーディネーターに接触。手術費用などのため15万7500ドル(2500万円相当)を渡したという。その後、現地の病院で20代女性から提供された腎臓の移植手術を受けた。施術はコーディネーターの仲介で派遣された中国人医師団が担った。 男性は帰国後に必要な術後の治療を複数の病院に断られたが、容体は安定しているという。現地で支払った2500万円の一部は中国人医師団が受け取ったとみられる。ドナーのカンボジア人女性にも渡ったとすれば、国際的に禁じられる臓器売買に当たる恐れがある。 菊池容疑者は23年、ベラルーシでの腎臓移植を無許可であっせんしたとして逮捕・起訴され、実刑判決が確定した。25年5月に「菊池容疑者がまた臓器移植のあっせんをしている」という情報提供があり、警視庁が調べていた。【洪玟香、最上和喜】