玉森裕太主演の日10ドラマ「マイ・フィクション」(毎週日曜夜10:15-11:09、テレビ朝日系)の最終話となる第8話が8月23日に放送され、由梨(森川葵)が忘れていた母にまつわる記憶、そして知られざる由梨と津村(野村周平)の繋がりが明らかになった。(以下、内容のネタバレを含みます) ■ “記憶”に隠された真実をめぐる、予測不能なサスペンス・ラブストーリー 本作は、平凡に暮らしていた男の“記憶”に隠された真実をめぐる、予測不能なオリジナルサスペンス・ラブストーリー。主人公・伊川正樹(玉森)は、事故に遭い目覚めると、世界が一変。他人が“伊川正樹”として妻と暮しており、妻も同僚も町の人々も正樹のことを覚えていなかった…。その後、自分を取り巻く状況は二転三転。おかしいのは、自分か周りかこの町か。正樹は不可解な状況に追い込まれながらも、真実を追い求めていくと、予想だにしなかった展開が待ち受けていた…。 ■由梨の母の死の真相 由梨は、息子の賢人(日影琉叶)が室谷に襲われたのを見てショックを受けたことがきっかけとなり、それまで忘れていた、幼い頃に見た母親が火事の家に入っていく姿がフラッシュバックした。 由梨は、母が亡くなった時のことをどうしても思い出せなかったが、脳科学者の叔父(佐戸井けん太)に、精神的なショックなどのせいで記憶障害が起きることがあると説明され、それを受け入れていた。 彼女は、自分が実は津村と結婚するはずだったこと、その記憶を書き換えられたことを知らないはずがない叔父を責め、母親の死についても教えてほしいと頼んだ。 叔父は最初はとぼけていたが、由梨がフラッシュバックのことを伝え、「知らないままなんて、嫌。作りものの記憶なんて要らない。本当のことを教えて」と訴える様子に観念して、真実を語り始めた。 母親は病死ではなく事故死だった。ピアノ教室を終えた幼い由梨は、迎えに来た母との帰り道、火事になった家の前を通りがかった。中にまだ子どもが残されていると知った由梨の母は、危険を顧みず見ず知らずのその子どもを助ける為に燃える家に入っていった。 そのおかげで子どもの命は助かったが、母は命を落とした。由梨は「ピアノなんて習いたいと言わなければ…」「迎えを頼まず1人で帰っていれば…」と、自分を責め続けたのだと、叔父は語った。 「知らない方がいい。忘れた方が幸せになれる」と、由梨を苦痛から解放してやりたいと考えた叔父は、大学の教え子だった祐介(玉森)に、由梨の記憶消去を頼んだのだった。だが、それは間違いだった、と深く頭を下げて彼女に詫びた。そして、母が助けたこともが津村であることも告げ、由梨は大きなショックを受けるのだった。 ■「祐介との幸せな思い出しか無いんです…」 そんな中、津村が「話をしたい」と由梨のもとへ。津村は、彼女を“殺人犯の妻”にしたくない、と考え、自分のそばに居ない方がいいと思って身を引くことにしたが、それは“逃げ”だった、と後悔の気持ちを語り、「もう1度、チャンスをくれないか」と頼んだ。 すると彼女は、「私を愛してくれたのは、母のことがあったからですか?」と尋ねた。幼い津村は、火事の後、誰かの犠牲で自分が生きながらえたことに苦しみ、由梨の叔父のカウンセリングを受けていた。それで由梨とも知り合い、彼女が学生の時は家庭教師をしていた。 知り合った当初、津村は、由梨が自分を助けてくれた人の娘であることに複雑な思いだった。だが、次第に彼女を愛するようになっていった。 津村は改めて、自分のせいで母親を死なせてしまったことを由梨に謝罪。それに対し、彼女は、「だから、かばってくれたんですか?」と言った。由梨は詳しいことは思い出せないが、自分が室谷を殴ったことだけは思い出していた。 事件の日、刑事だった津村に逮捕されたことを逆恨みした室谷(吉村界人)が津村の家に復讐にやって来た。そして部屋に1人でいた由梨を襲い、必死に抵抗した彼女は近くにあった瓶で室谷の頭を殴打。室谷は頭から血を流し、動かなくなったのだった。 部屋に戻り、その光景を見た津村は室谷が死んだと思い、身代わりになることを決意。由梨がショックで気を失っている間に祐介を呼び、残される彼女のケアを頼んだのだ。 そして祐介は、自分のせいで2度も津村の人生を狂わせてしまった、と苦しむ彼女を見ていられず、幼少期の記憶と共に津村の存在と事件の記憶を消した。その時、長年密かに彼女に片想いしていた祐介は、由梨を自分のものにしたくなり、由梨の津村との記憶を自分とすり替えたのだった。 彼女は、津村に「あなたは私を愛してくれた。でも、私にはその記憶が無い。思い出そうとしても思い出せない。本当のことを教えられても、まだ…祐介との幸せな思い出しか無いんです」と告げ、「どうすればいいんですか?」と泣いた。 津村は、「ごめんなさい」と言う彼女に「やめてくれ」としか言えず、去っていく彼女を引き止めることができなかった。 母親を火事で亡くし、婚約者の身代わりで“殺人犯”に。状況的に正当防衛が成立するはずなのに、室谷に行った記憶改ざんプログラムの隠ぺいの為に彼を死んだことにした警察上層部のせいで、7年も服役。刑事の職も奪われた。服役中に由梨は祐介と結婚し出産。それはある意味自分が望んだことだったが、彼女の意志ではなく、記憶改ざんの結果の結婚…。まだ由梨を愛しているのに、彼女は自分との記憶が無く、祐介を愛していると言われる始末…。とことん津村が気の毒すぎる。 ■「ありがとう。愛してくれて…」 祐介に呼び出された由梨は、火事の記憶と津村のことを消去したことを責めた。祐介は、由梨を小学生の頃から好きだったこと、そして、彼女が笑っててくれさえすれば、幸せでいてくれたら…との思いからしたことだったと告げたが、由梨は「悲しいことだけを都合よく忘れるなんて嫌。そんなの私じゃない」と言った。 祐介は「(それも)キミだよ」と言ったが、彼女は「違う!」と強い口調で言い返した。そして、「違わない。キミは誰よりも幸せにならなきゃいけないんだ」と告げた彼に、「幸せだったよ」と伝えた。 祐介と賢人と過ごした日々は忘れたくても忘れられないし、祐介が居ない日も思い出せないと、由梨は言い、「まだ愛してる」と想いを伝えるのだった。 だが、彼女は「でも許せない。あなたが憎い!」と続け、涙を見せた。そんな彼女を見て、祐介も「泣かないでくれ」と涙をこぼした。 「もう悲しんでほしくない。その為だったら、何だってする。何だって…」と嗚咽する祐介を由梨は抱きしめ、「ありがとう。愛してくれて」と告げた。そして、由梨はその場で崩れ落ちた。祐介が隠し持っていた注射で彼女を眠らせたのだ。 ■由梨の笑顔を守る為の祐介の決断 祐介は、今の状況が耐えられない津村から、自分の中の由梨を、そして由梨の中からも再び自分の記憶を消してくれ、と頼まれていた。祐介が、彼女の笑顔を守る為にした決断は…津村と由梨から自分の存在を消すことだった。この決断が正解なのかはわからないが、自分が歪めてしまった関係に決着をつけるには、こうするしかなかったのだろう。 そして、由梨と津村は元通り夫婦に戻り、賢人と3人で暮らし始めた。2人から事件の記憶も消したのだろうか、津村は別人のように明るくなっていた。祐介とすれ違っても、何の反応も無かった。 これまでの技術では、何か精神的なショックを受けると、消した記憶が戻ることがあった。技術が進歩して、2人がこの先もつらい出来事を思い出さずに幸せにくらしていくことを祈るばかりだ。由梨の幸せ…それが祐介の一番の望みだから。こうして“サスペンス・ラブストーリー”は幕を閉じた。 ◆文=鳥居美保