火災保険調査の「エース」として業界で一目置かれる半面、多額の税金を滞納し、困窮する〝陰〟があった。保険金詐欺グループの一員として、4件で計約1億2800万円をだまし取ったとする非現住建造物等放火や詐欺罪などに問われた元保険調査員、深町優将(まさのぶ)被告(55)の初公判が20日、岡山地裁で開かれた。負債返済のため知人の誘いに乗り、実行役にもなったものの、結局報酬はもらえずじまい。エースの称号と乖離(かいり)した実像が公判で浮かんだ。 ■起訴内容争わず 紺色の上下スーツに白シャツ姿でうつむき加減に入廷した深町被告。逮捕前から細身だったとされるが、1年半近くに及ぶ勾留生活の影響か、頰は瘦せこけていた。 起訴状によると共謀し令和4年8月~5年11月、岐阜、北海道、岡山、青森の4道県で古民家や空きビルに放火。原因不明の出火を装い保険金など計約1億2800万円をだまし取ったとされる。 裁判長から起訴内容に誤りがないか問われた深町被告は「ありません」と述べ、起訴内容を認めた。弁護人も争わない姿勢を示した。 冒頭陳述や証拠調べでは「エース」の裏の顔が明かされた。大学卒業後、金融や不動産関係の仕事を経て平成20年ごろから保険調査員に。関係者によると、業界最大手「損害保険リサーチ」(東京)に長年在籍し、火災調査に精通する立場となった。 華々しい経歴の一方、約20年前から税金の滞納が続き、その額は1000万円以上。初公判では、どのような税の滞納だったのか、言及はなかった。 ■「自分ですか」 転機は令和3年ごろに訪れる。20年以上前から付き合いがあった稲葉寛被告(58)=非現住建造物等放火罪などで起訴=と頻繁に連絡を取るようになり、税金を滞納していることや保険調査業界の実情を打ち明けた。稲葉被告は一連の事件の指示役とされる人物だ。 そして遅くとも4年5月までに事件への関与を持ち掛けられる。 稲葉被告「家屋に火を付けてほしい」