東京女子医科大の元理事長・岩本絹子容疑者(78)が、大学に1億円余りの損害を与えた背任の疑いで逮捕されました。“独裁的”な振る舞いから、大学内部では岩本容疑者を「プーチン」と呼ぶ人もいたといいます。 ■東京女子医大の元トップを逮捕 背任の疑いで逮捕された東京女子医大の元理事長・岩本絹子容疑者(78)。 在任中、新校舎の建設工事をめぐって、実態がない業務の報酬として約1億1700万円を大学に不正に支払わせた疑いが持たれています。 警視庁によると、この一部の資金が岩本容疑者に還流されていました。 大学の元トップが逮捕される異例の事態。創立125年の“名門”に、何が起きたのか。 ■「プーチン」と呼ばれた“独裁” 「理事会と監事のガバナンス機能は封殺された」 きっかけは2014年、麻酔薬「プロポフォール」を大量投与された2歳の男の子が亡くなった医療事故。 補助金が減額されるなど経営は赤字に陥る中、大なたを振るったのが、この年に副理事長となった岩本容疑者でした。 刑事告発した大学関係者 「赤字経営を脱却するために大量のコストカットと人員削減を行った。人事であったり、情報システムであったり、そういったものを監視する機構を作られた。大変独裁的であると思います」 築かれていった「独裁体制」。2019年からは理事長を務め、大学内部では岩本容疑者を「プーチン」と呼ぶ人もいたといいます。 刑事告発した大学関係者 「岩本先生が『これをやるんだ』って言ったことに対しては、ノーと言えないんだと思います」 岩本容疑者は2023年、不正な支出に関与した疑いがあるとして、刑事告発されていましたが、この直後… 岩本容疑者(2023年に関係者から提供された音声より) 「少なくとも大学と至誠会(同窓会組織)に対し、何か損害を与えるということは、100%、200%ありえません」 しかし、事件をめぐって警視庁は去年3月、大学本部などを家宅捜索。岩本容疑者は8月、理事長をはじめとする全ての役職を解任されました。 大学が設置した第三者委員会は、▼勤務実態がない職員への給与の支払いや、▼自らの報酬の増額など岩本容疑者をめぐる数々の問題を指摘。