『踊る大捜査線3』にはシリーズのテーマ“生きる”が集約 “最強の悪役”日向真奈美の思想

『踊る大捜査線』(以下、『踊る』)シリーズの最新作となる劇場映画『踊る大捜査線N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が9月18日に公開されることを記念して、現在フジテレビでは『踊る』シリーズの劇場映画が、フジテレビ系『土曜プレミアム』で一挙放送されている。 9月5日に放送されるのは、2010年に劇場公開された映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』(以下、『踊る3』)。 2010年。湾岸署が対テロ対策の最新設備を備えた新社舎へ引っ越しすることとなり、青島俊作(織田裕二)は大規模な引っ越しの本部長として指揮を取る忙しい日々を過ごしていた。 そんなときに、管内でバスジャック事件と銀行強盗事件が起こる。しかしどちらの事件でも何も盗まれておらず、青島たちは困惑するが、引っ越しの最中に新湾岸署の武器庫から拳銃が3丁盗まれる。そして翌朝、盗まれた拳銃で射殺された遺体がレインボーブリッジ付近で発見される。 新湾岸署には捜査本部が設置。その後、被害者がプレイしていたオンラインゲームを通して、犯人グループと接触することに成功する。しかし、犯人グループのリーダー・ノライヌはかつて青島が逮捕した犯罪者9名の解放を要求し、それができなければ残り2丁の拳銃で無差別殺人をおこなうと脅迫する。 やがて犯人たちは、かつて青島が逮捕した日向真奈美(小泉今日子)の信奉者であることが判明。そして、今回の拳銃強奪事件は、日向が自分の信奉者たちを裏から操って起こしたことが明らかとなる。 日向真奈美は『踊る大捜査線 THE MOVIE』(以下、『踊る1』)に登場した猟奇殺人犯で、インターネット上で犯罪研究のホームページを開き、そこに集った自殺志願者を殺害した。逮捕された後も彼女の信奉者が増え続けていた。 『踊る1』における日向真奈美は、1990年代に大流行した『羊たちの沈黙』や『セブン』といった猟奇犯罪を題材にしたサスペンス映画に登場する猟奇殺人犯のパロディのようなキャラクターだったが、小泉今日子の怪演もあってか独自のカリスマ性が宿っていた。 『踊る』の犯罪者は匿名性が高いのだが、唯一の例外が日向真奈美で、『踊る3』で再登場して以降は『踊る』のダークサイドを象徴する悪のカリスマとしての存在感が高まっている。 一方、『踊る』らしいと感じたのが、ノライヌ率いる日向真奈美の信奉者たちの匿名性の高さ。犯人グループは湾岸署の引っ越しの作業員として紛れ込み、拳銃の強奪をおこなったのだが、青島たちが身元を調べようとしても、作業員は派遣のバイトも含めると200人いて、登録制の派遣のバイトは名前の代わりに番号を登録して携帯メールで呼び出すため、偽名の可能性もあると言われてしまう。つまり、雇用の流動化によって派遣アルバイトが増えたことが、身元の判別が難しい匿名の犯罪者を生む温床となっていることが描かれるのだ。

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