暴れた乗客、粘着テープでファーストクラス席に縛り付けられる 米旅客機が緊急着陸

(CNN) 米国の国内線旅客機が3日夜にメリーランド州ボルティモアへ緊急着陸した際、暴れた乗客が粘着テープで座席に縛り付けられていたことが、他の乗客が撮影した写真や動画から明らかになった。 機内に居合わせたリチャード・オレニクさんとフアン・メヒアさんによると、フライトの半分以上が経過した頃、ファーストクラスの2列後ろに座っていた男が攻撃的な態度を見せ始めた。 騒動が起きたのはアメリカン航空618便。連邦航空局(FAA)の声明によると、テキサス州のダラス・フォートワース国際空港からニュージャージー州ニューアークへ向かっていたところ、乗務員から乗客が暴れているとの報告があった。 客室乗務員が落ち着かせようと試みたものの、男はますます興奮。隣の乗客を殴り始め、仲裁に入ろうとした女性も殴った。 暴力に発展したのを見て、ニュージャージー州の元警察官であるメヒアさんが立ち上がり、オレニクさんもそれに続いた。 「男は暴言を吐き始め、ひわいな言葉も使い出した」とオレニクさんは振り返る。「人種差別や同性愛嫌悪の中傷」(オレニクさんとメヒアさん)も口にしたという。 客室乗務員はオレニクさんとメヒアさん、3人目の同乗者に結束バンドを手渡した。3人がこれを使って男の手首を拘束しようとすると、男は「放せ」と抵抗した。 その後、男がメヒアさんに噛(か)みつき、オレニクさんのことを噛もうとしたため、3人は乗務員から渡された粘着テープで身柄の拘束に着手した。オレニクさんによると、元警官のメヒアさんの助言に従い、呼吸に支障が出ないよう、男の口にはテープを貼らないように細心の注意を払ったという。 アメリカン航空は声明で「乗客やスタッフの安全とセキュリティーは当社の最優先事項であり、暴力は許されない」とコメント。「スタッフのプロ意識あふれる対応と、乗客の理解に感謝する」と表明した。 その後15分間、オレニクさんは旅客機がメリーランド州に緊急着陸するまで、拘束された乗客のひざの上に座り続けた。途中で一度、自分の席に着席しようとしたものの「男が再び騒ぎ出したため」、すぐに戻らざるを得なくなった。 米国では来週、2001年9月11日の米同時多発テロから25年の節目が控えている。それが2人の頭をよぎり、事態が一層深刻に感じられたと、オレニクさんは振り返る。 「フアンは警察官なので、知り合いを亡くしている。私はテロ発生時、おそらく現場から4.8キロほどの場所にいた。だからただでさえピリピリしている時期に、この男はこんなことを仕出かした」(オレニク) 連邦捜査局(FBI)の声明によると、メリーランド州交通警察は旅客機がボルティモアの空港に安全に着陸したのを受けて機内に入り、州法違反の容疑で男1人を逮捕した。当局は逮捕された男の氏名を公表していない。 オレニクさんによれば、男が機外へ連れ出された後、旅客機はニューアークへ向けてフライトを続けた。 「何が起きたのか、何が引き金になったのか正確には分からない」「ただ、とにかく大変な状況だった」(オレニクさん) 多くの民間機には、暴力を振ったり妨害行為に及んだりした乗客を拘束するため、粘着テープや伸縮性のある手錠が備え付けられている。

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