今回問題となっている「国勢調査」とはどんな調査なのか、過大報告が発生した背景に何が考えられるのか、専門家への取材も通して詳しく見ていきます。 「国勢調査」は国が5年に1度行う最も重要な統計調査です。日本に住む全ての人の名前、生年月日、就業状態などを調査し、福祉など行政の基礎データとして利用しています。回答方法は「インターネット」と「紙の調査票」が基本で、市町村などから各都道府県を通じて国に報告され、集計します。 今回、富山市が実態よりも人口を多く報告したとして、総務省が富山市を訪問しデータを審査しました。 経済統計に詳しい東京大学の肥後雅博教授は「事務的ミス」の可能性がある一方「過大報告された数は一定の規模があったのでは」と指摘します。 東京大学 肥後雅博教授 「実際には10%、多くて20%くらいの世帯は、調査票を回収できない、あるいはオンラインで報告いただけない世帯があります。それについては統計調査員が近隣住民にヒアリングしてこの家にだれが住んでいるか聞く、それでも集まらなければ地方自治体の住民基本台帳を見て記入する作業が行われています。その時に何らかのダブルカウントが起きた可能性があるのかなと」「ちょっとでもおかしければ間違いなく(総務省が)自治体に電話してくると思うんですけど、もっと大きな規模で何かが起きたからこそ(総務省が)来たのかもしれない…」 こちらは今回の調査の、インターネットと紙の調査票の回答状況です。富山市は88.4%、9割弱と全国平均のおよそ8割を上回っています。回答がなかった分は統計調査員の聞き取りなどで確認していますが、肥後教授は「この過程でミスが生じたのではないか」としています。一方KNBへの告発では「過大報告した人口は数千人規模にのぼり、意図的に行ったのではないか」としていて、藤井市長はこれに対し「把握していない」としたうえで「調べるよう指示した」としています。 全国では過去に、意図的に人口を操作した例もあります。 愛知県東浦町では2010年の国勢調査で、人口が5万人を超えているように水増ししたとして、当時の副町長らが逮捕されました。この「5万人」というのは、「町」から「市」になる要件の一つです。市になると地方交付税の算定基準が変わるほか、福祉や都市計画などの権限も増えます。 一方で富山市の人口は、今年5月に公表された2025年の国勢調査の速報値で「40万2133人」です。この「40万人」がひとつのカギになるのかなと思いますが、肥後教授は「40万人を割り込むことを避けるために過大報告したわけではないだろう」としています。 東京大学 肥後雅博教授 「40万人を境に地方交付税の算定基準が変わるとかそういうことはないと思うので、39万人台と40万人に深刻な違いがある気はしないので、40万人がステータスという考え方以外はこれが問題になることはない」 一方、意図的であってもミスであっても、人口の誤りは行政運営に悪影響があると指摘します。 東京大学 肥後雅博教授 「富山市が今後いろんな行政をやっていくための基礎的な資料にするためにやっている。そういうこと(人口の誤り)が行われたとすれば歪んだ統計になり、富山市の行政で『ここにこんな人が住んでいるのか』と間違って認識することになり、非常によろしくない」 藤井市長は調査結果について、今後記者会見などを開くとしています。市には正しい数字の公表とともに、今回の事案が起きた背景を市民に説明する責任があります。ここまで富山市の国勢調査の問題についてお伝えしました。