トランプ米大統領が23日(現地時間)に予定されている中国の習近平国家主席との首脳会談で、中国に拘束されている米国人学者らの釈放を要求するという報道が出ている。 中国系米国人の地震学者、陳有林氏(54)の妻の栄玉芳氏は22日、ロイター通信のインタビューで、この日ホワイトハウスを訪問し、国家安全保障会議(NSC)および国務省の関係者と面会した際、こうした内容について確認を受けたと主張した。 中国生まれで2011年に米国市民権を取得した陳氏は、米政府の契約企業に所属する地震学者として、北朝鮮の地下核実験で発生する衝撃波を探知・分析する研究を行ってきた。2024年11月、大学での講義および家族訪問のため北京を訪れた後、米国に帰国する際、首都国際空港で北京市国家安全局の職員に逮捕された。栄氏によると、陳氏は拘束中に100回を超える取り調べを受けたという。 栄氏は、中国当局が夫を捏造したスパイ容疑で裁判にかけるのではないか心配していると話した。中国外務省の郭嘉昆報道官は7月14日にロイター通信の報道で拘束の事実が初めて伝えられた直後の記者会見で「陳氏は中国の国家安全を脅かし、中国の法律に違反する活動に関与した疑いがある」と述べた。続いて「中国は法治国家であり、いわゆる不当な拘束というものは存在しない」と強調した。 これに対し栄氏は「中国当局は夫の核実験探知に関する専門知識を利用し、『デカップリング』により核実験を隠蔽する能力を高めようとしている」と批判した。デカップリングとは、大規模な地下空間の内部で核爆発装置を爆発させ、衝撃波の大きさを減らす技術だ。米国は、中国が2020年6月22日に実施した低威力の核実験による爆発を隠蔽するためデカップリング技術を使用したと主張してきた。 栄氏は、陳氏は高血圧と糖尿病で健康状態が良くないにもかかわらず中国で適切な治療を受けていないとし、「夫がそこで毎日どれほどつらい生活を送っているのか想像もできない」と話した。 また栄氏は、6月に中国当局に逮捕されて3カ月以上も拘束されているミャンマー出身の米国人政治学者ミンジン氏(53)の釈放もトランプ大統領が要求するだろうと伝えた。ミンジン氏はミャンマー専門の独立系シンクタンク「戦略政策研究所―ミャンマー」の共同創設者兼事務局長で、ミャンマーの政治や民主化、軍部との関係について研究してきた。 その研究分野にはミャンマーにおける中国の影響力や介入の問題も含まれている。中国は2024年1月と昨年1月、ミャンマー軍と少数民族武装勢力の停戦交渉を仲介するなど、ミャンマー内戦で外交的な役割をしてきた。 ミンジン氏は6月3日、中国の学術機関の招待を受けて雲南省昆明で開かれたワークショップに出席したところ、スパイ活動および国家安全保障を脅かした疑いで空港で逮捕された。米国務省は先月20日の声明で「不当に拘束されている2人」として陳氏とミンジン氏の名前を挙げた。 トランプ大統領は今年5月の訪中時にも陳氏の問題を提起したが、成果はなかった。栄氏がホワイトハウスのNSCと国務省から伝えられた内容によると、習主席はトランプ大統領にこの問題を「調べてみる」と伝えたものの、その後、別途の措置は取らなかったという。 米政府高官はロイター通信に対し「不当に拘束された米国市民拘束問題を解決することは常に大統領の最優先課題」とし、今回は問題を解決する意向を示した。ただ、今年5月にトランプ大統領が問題を提起したにもかかわらず特段の措置を取らなかった習主席が今回応じるかどうかは不透明だ。