【09月28日 KOREA WAVE】韓国の警察が、大手芸能事務所HYBE(ハイブ)のパン・シヒョク会長を20カ月以上にわたって捜査した末、逮捕せずに検察へ送致した。資本市場法上の詐欺的不正取引容疑を巡り、警察と検察の見解の相違を解消できなかったためだ。 警察はパン会長を5回取り調べ、逮捕状を2度請求したが、いずれも検察に退けられた。その後、約4カ月間にわたって追加検討を重ねたものの、3度目の請求は見送った。ソウル警察庁の金融犯罪捜査隊は9月3日、パン会長ら5人を資本市場法上の詐欺的不正取引容疑でソウル南部地検に在宅送致した。 警察は韓国取引所やHYBE本社を家宅捜索し、パン会長を繰り返し取り調べた。しかし検察は、身柄拘束の必要性などについて説明が不十分だとして最初の逮捕状請求を退け、補充捜査を求めた。警察は6日後に再び請求したが、検察は補充捜査が十分ではないとして、これも退けた。 両者の対立の中心にあるのは、パン会長らの行為が資本市場全体の公正性や信頼を損なったと認められるかどうかだ。警察は、経営陣が独占していた上場関連情報を既存株主に隠し、情報格差を利用して私的利益を得たと判断。市場全体の公正性と信頼を侵害したとみている。一方、検察は、上場計画がないと説明して既存株主に保有株式を売却させた行為について、個々の株主の利益を侵害した性格が強いと判断した。資本市場全体への影響について、さらに立証するよう求めたとされる。 検察関係者は、既存株主も当初の投資額の数十倍の利益を得たと認識していると説明。上場後にさらに大きな利益を得る機会を失ったとしても、それが刑事法上の被害に当たるかは別問題だと指摘した。 今回の事件には同じ構造の判例がなく、刑事責任の重さも法的判断を難しくしている。事件当時の資本市場法では、不当利益が50億ウォン(約5億円)以上の場合、無期または5年以上の懲役に加え、不当利益の3〜5倍の罰金が科される可能性がある。警察が算定した不当利益2631億ウォン(約263億1000万円)がそのまま認められれば、罰金は1兆ウォン規模に達する可能性もある。ただし、実際の裁判では犯罪収益や不当利益の算定が難しく、捜査機関の算定額が全額認められるケースは少ないという。 警察は2度目の逮捕状請求が退けられた後、国内外の判例を調べ、学界や金融当局の専門家から意見を聴いた。それでも従来の判断を維持した。警察関係者は、前例のない事件で膨大な証拠を分析する必要があり、捜査に時間がかかったと説明。家宅捜索や逮捕状、起訴前の犯罪収益保全についても、同じ容疑を適用して裁判所の判断を受けたと強調した。ただし、捜査段階で令状や保全命令が認められることと、逮捕や起訴に必要な立証ができることは別問題だとの指摘もある。 警察が解消できなかった法解釈と容疑の立証を巡る問題は、検察に引き継がれた。ソウル南部地検は送致された捜査記録を精査するとともに、金融監督院の特別司法警察が別途捜査しているパン会長の事件についても指揮を続けている。今後、検察が直接補充捜査に着手するか、警察に追加捜査を求める可能性がある。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News