東京・中野区の時計店から2億円相当の腕時計を盗んだとして逮捕されたチリ国籍の男2人が、この事件の3日前に大田区の住宅で800万円相当の腕時計や現金などを盗んだ疑いで警視庁に再逮捕されました。1人は、「ヨーロッパ中で窃盗をしていた」と供述しているということです。 先月(8月)25日、東京・中野区の商業施設「中野ブロードウェイ」の時計店で、腕時計4本あわせて2億円相当を盗まれた事件では、いずれもチリ国籍のマンサーノ・ケサダ・ボリス・アレクシス容疑者(33)とピニャ・グスマン・ジェレミー・パオロ容疑者(24)の2人が逮捕されています。 2人は事件の4日前(8月21日)に短期滞在のビザで入国していました。 その後の警視庁の捜査で、翌日(8月22日)、東京・大田区で腕時計や現金など800万円相当を盗んだ疑いが浮上し、きょう(28日)、窃盗などの疑いで再逮捕されました。 警視庁によりますと、2人は大田区の高級住宅街を歩いていたところ、住宅の駐車場から車が出てくるのを偶然目撃。その家のインターホンを押して留守であることを確認した後、庭の石を投げて窓ガラスを割り、侵入したということです。 この事件の翌日(8月23日)、2人は「中野ブロードウェイ」の時計店を下見に訪れていたとみられています。 この事件をめぐっては、マンサーノ・ケサダ容疑者がこれまでの取り調べに対し、「盗む計画をしていたわけではないが、機会があればやろうと思っていた。中野のお店は薄いガラスで、出入り口からも近く、これなら盗めると思った」という趣旨の供述をした上で、中野を訪れた理由については、「観光で行ってみたい街だった。娘を連れて行きたかった。写真を送ったら、娘が喜ぶと思い、街に(8月)23日に行ったら、いい時計店があった」という趣旨の説明をしていたということです。 捜査関係者によりますと、2人は実際に東京タワーや東京スカイツリー、浅草の観光もしていて、「前もって目星をつけていたのではなく、金がありそうで隙があったから入ったとみられる」として、いわゆる「窃盗ツーリズム」とみられるということです。 取り調べに対し、マンサーノ・ケサダ容疑者は「ヨーロッパ中で窃盗をしていた」「収益が出るまで1日3~4件やった日もある」と供述していて、スウェーデンなどでも窃盗を繰り返していたとみられています。 ピニャ・グスマン容疑者についても、フランスで窃盗をしていたとみられています。 こうしたことから捜査関係者によりますと、2人は欧米で「SATG」と呼ばれている存在とみられるということです。 「SATG」とは、日本語で「南米系窃盗団」を意味する「SouthAmericanTheftGroup」の英語の頭文字4つをとったものです。 FBI=アメリカ連邦捜査局などによりますと、「SATG」は観光ビザや不法入国でやってきて、窃盗を繰り返し盗んだものをすぐに現金化するか、母国に送って海外に逃亡するのが特徴で、「国境を越えた脅威」とされています。 また、捜査関係者は、「処分屋」と呼ばれる盗んだものを買い取る人物がいることも「SATG」に犯行をやりやすくしているとみています。 中野ブロードウェイの時計店から盗まれた腕時計4本のうち3本はいまだに見つかっていませんが、マンサーノ・ケサダ容疑者は「大阪の民泊施設の近くの遊歩道でスペイン語を話せる40歳くらいの男に渡した」と供述しているということです。 また、事件の翌日、2人以外の人物がイタリア行きの電子航空券などをピニャ・グスマン容疑者に対しSNSで送っていたことも分かっているということで、警視庁が実態解明を進めています。