大阪・関西万博の工事を巡り、竹中工務店の元現場責任者が再逮捕された事件。大阪府警が8月に容疑者を逮捕して以降、複数の自治体が同社の入札参加資格を停止する一方、万博の開催地かつ同社の本社が所在する大阪府と大阪市はそうした措置をとっていない。背任事件の性質をいかに捉えるかで対応が分かれている形だが、専門家は判断の正当性を検証できる仕組みが必要だと指摘する。府警は8月19日、背任容疑で万博関連工事の総括作業所長を務めた河井辰巳容疑者=懲戒解雇=を初めて逮捕。これに伴い神戸市、京都市、滋賀県をはじめ、ホームページで確認できるだけでも40以上の自治体が竹中工務店に対し、一定期間の入札参加資格を停止した。「不正または不誠実な行為」に該当するなどとしている。こうした動きがある半面、大阪府は「府入札参加停止要綱」に基づき検討したものの、「資格停止の措置は必要ない」と結論付けた。府によると、要綱では、談合や独占禁止法違反などは資格停止の期間が具体的に定められているが、背任罪については記載がない。背任事件において会社は損害を加えられた被害側であることに加え、「第三者に損失は生じていない」として、今回の事件は措置が不必要と判断したという。大阪市も同様の理由で措置を見送っている。入札参加資格を停止した自治体は背任事件であることをどのように考慮したのか。1カ月間の資格停止とした静岡県は「会社の管理体制に問題があったことが事件の要因でもある」と説明。過去には、元社員が営業秘密を不正に持ち出したとする不正競争防止法違反事件でも、同様の観点から、たとえ会社が被害に遭っていたとしても資格停止としたという。2カ月間の資格停止とした神戸市は「容疑者の職務上の地位や権限が事件につながっている」とし、「措置を通して管理体制の見直しを図ってもらいたいという意図もある」と説明した。地方自治に詳しい近畿大の上崎哉(はじめ)教授(行政学)は、各自治体の要綱次第で判断が異なることはあると前置きした上で、大阪府と大阪市の対応について「社員が逮捕、起訴されている以上、会社側に一定の管理責任は問われるべきだ」と指摘。第三者に被害が生じていないとの理由を挙げて措置を見送るのは「不適当ではないか」とみる。上崎氏は、対応に不公平さを指摘されないためにも判断プロセスを公文書に残したりするなど、「正当性を検証できるようにしておくべきだ」としている。