米軍基地が集中する沖縄県では、米兵による重大事件が起きるたびに日米地位協定の見直しを求める声が上がる。ただ、これまで協定が改定されたことはなく、日米同盟を維持する観点や取り調べの手法など法文化の違いから見直しのハードルは高い。昭和35年に締結された日米地位協定では、米兵の公務内の犯罪は米側に、公務外は日本側に裁判権が優先される。ただ、公務外でも身柄が米側にある場合は起訴まで米側が拘束すると規定。この身柄の引き渡し規定が問題になってきた。運用上の改善は図られてきた。沖縄県で少女暴行事件が起きた平成7年、殺人など凶悪犯罪の容疑者は日本側が起訴前の身柄の引き渡しを求めれば、米国が「好意的考慮を払う」ことで合意している。■見えにくい米側の処分今回の事件では、米軍基地の外にいた米兵を沖縄県警が逮捕したため、身柄は日本側が拘束しているが、基地内にいた場合は、米側の「好意」に委ねるしかなかった。米側にも軍法会議など自国の法制度があり、米兵の引き渡しには慎重だ。名桜大の志田淳二郎・上級准教授(国際政治学)は「米側の裁判や処分が見えにくいため、日本側に納得感がない面もあるだろう」と分析する。改定するとなれば日米の法体系の相互理解が不可欠で、日米同盟の強化とともに検討課題ではあるが、多大なエネルギーを要する。改定が犯罪抑止につながるのか、因果関係を明確にする必要もある。志田氏は「改定をすればいいというだけでなく、目的意識をはっきりさせることが重要だ」とした。(那覇支局長 楠城泰介)