露やイランなど外国勢力の脅威「過去10年間で4倍増」と英MI5長官、AI悪用も警告

【ロンドン=黒瀬悦成】英国内の防諜を管轄する情報局保安部(MI5)のマッカラム長官は13日、英国が直面する脅威に関する年次演説を行った。マッカラム氏は、欧州に破壊工作やサイバー攻撃を駆使したハイブリッド戦争を仕掛けるロシアを「最大の攻撃者」と位置付け、これらの国家的脅威に対して東西冷戦期よりも大規模な陣容で対処していると述べた。マッカラム氏は、外国の敵対勢力からの脅威が過去10年間で約4倍に増大したと指摘した。その上で、ロシアが北大西洋条約機構(NATO)に対し、NATOの集団防衛を定めた北大西洋条約第5条の発動対象となるような通常型紛争に発展しないぎりぎりの範囲でハイブリッド戦争を展開していると警告した。具体的な事例としては9月に独ライプチヒの空港で起きたドローン(無人機)攻撃未遂事件や、ポーランドのエネルギー施設に対するサイバー攻撃などを挙げた。また、イランも英国に対するハイブリッド攻撃を活発化させており、昨年1年間でイランが関与したとみられる破壊活動に関連して50人以上を逮捕したことを明らかにした。さらに、イランが英国内のユダヤ系社会だけでなく「今年に入って軍事施設などの攻撃や破壊が困難な標的も狙うようになった」とし、こうした行為には「断固たる対応を取る」と強調した。バーナム首相は今月12日、英南部のフェアフォード空軍基地周辺でテロ攻撃の準備をしていた疑いなどで5人が逮捕された事件に関し、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の指示で実行されたのは「ほぼ確実だ」との見方を示していた。マッカラム氏はさらに「テロリストが人工知能(AI)の悪用を図っている」とし、AIが新たな生物兵器の開発に使われる恐れに言及した上で「こうしたリスクは現実的だ」と訴えた。

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