匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)対策を巡り、警視庁が昨年10月に組織改編してから1年がたった。警視庁では「トクリュウ対策本部」が中心となり、トクリュウ犯罪の特性も踏まえて対策に臨み、実行役らの摘発や事件の未然防止につなげてきた。成果も上がる一方で、グループ上位者の摘発が困難であるなど課題も見えてきた。■繰り返し狙われる標的5月下旬未明、東京都小金井市の住宅街に、不審な男2人が現れた。警視庁小金井署員が職務質問したところ、マイナスドライバー1本や手袋などを所持していることが判明し、強盗予備容疑で現行犯逮捕した。捜査員が近くにいたのは偶然ではなかった。現場付近では5月、住宅に何者かが侵入する事件が複数回発生しており、警視庁は再度狙われる可能性が高いと判断し、警戒態勢を敷いていた。この1年で警視庁がトクリュウの犯行を事前に察知するなどして被害を未然に防止したケースは増えている。捜査関係者によると、警視庁が摘発した強盗予備事件は令和7年が4件で、摘発人数は7人だったが、今年は6月末時点で8件16人とすでに昨年の倍以上に上る。■構図踏まえ摘発捜査や摘発を通じ、トクリュウの構図も見えてきた。標的に関する情報をもたらす「情報元」、それを基に想定される利益などを「案件」としてまとめる「案件屋」、指示役、実行役と役割が細分化されていることが明らかになった。9月にはトクリュウに標的となる世帯の資産額や住所などの情報を提供して強盗未遂事件に関与したとして、警視庁では初めて、情報元とみられる男を逮捕。捜査関係者などによると、男は不動産関係の仕事を通じて把握した被害者の資産額、現金の保管場所などの情報を案件屋に伝えていた。案件屋が利益を得ようと標的情報を複数の犯行グループに拡散した結果、小金井事件のように同じ対象が何度も狙われることもある。海外から行われる特殊詐欺対策も進める。今年5月以降に逮捕された指定暴力団住吉会系組員は新宿・歌舞伎町などで知り合った男女を海外で「かけ子」にするため誘拐したことが判明。捜査幹部は「国外に詐欺拠点がある限り、日本国内で人員を供給する人物が出てくる」と話し、「供給源」を断つ意義を強調する。■実行役ほぼ逮捕も…