「“別班”が現在も存在するのは間違いないです。しかし、ドラマのような国外で捕まれば死刑になるような諜報活動を実際にしていたかといえば疑問符がつきます。国にそんな活動をさせる覚悟はないでしょう」こう語るのは、東京工科大学教授の落合浩太郎氏だ。国際関係論や安全保障・インテリジェンス(情報収集・分析)の専門家である落合氏は、『面白すぎて時間を忘れる「スパイ」の世界』(三笠書房)を8月に上梓した。スパイやインテリジェンスと聞けば、何か秘密のベールに覆われたものを想像し興味をそそるものだが、書籍の中では決してスーパーマン的ではないスパイの実情などが紹介されている。映画やドラマ、小説に登場する派手なアクションで大活躍するスパイとは違い、書類やデスクワークに追われる官僚的で地味な活動実態や、過去の有名エピソード、各国の諜報機関等も紹介され、日本におけるインテリジェンスの実情なども語られている。冒頭の“別班”とは、言わずもがな、現在シーズン2が放映されている俳優・堺雅人(53)主演ドラマ『VIVANT』(TBS)で描かれ、世間の関心を集める陸上自衛隊の情報部隊だ。政府は“別班”について、その存在(陸上幕僚監部運用支援・情報部別班として)を公式には認めていないそうで、「以前はHPでも見られましたが、今はHP自体にアクセスできません……」(落合先生)という。そんな奇妙にも思える動きも何だか存在の信憑性を高めている。「なぜアクセスできなくなったのか関係者に聞いてみましたが、“隠したい”という理由からではなく、“テクニカルな理由で……”と言うのみでした。その活動内容についても“国外で、人間として壊れるくらいボロボロになるほどの活動”というものから、中国・ロシアや北朝鮮に行った人間から聴き取り調査をして地誌を作成する……という地味なものまで、言われているものにも幅があるのです。別班の実情は、私は後者のほうだと思います」活動の実態は定かではなく謎が多い組織だが、ドラマや映画のような対外諜報や工作などを積極的に行うことは考えづらい……というのが正確なところなのだろう。そんな日本のインテリジェンスの状況についてよく言われているのは、“日本はスパイ天国”という噂だが、実際はどうなのだろうか。