その日法廷は、防弾パネルで傍聴席と仕切られていた──。2025年11月26日、京都地裁初公判の罪状認否。「起訴状について、何か言いたいことはありますか」(裁判長)「私は決して犯人ではありません。『決して』がつきます」(田中幸雄被告)「田中さんは犯人ではありません。無罪です」(弁護人) すると検察側の仕切りの奥から女性が叫んだ。「なにが無罪やねん!工藤会がなんやねん。一般人に手え出していいんか。うちの大切なお父さん殺したんや」。 その女性は遺族だった。防弾パネルの仕切りはブルーシートで覆われ、女性は退席、審理は止まった。 事件が起きたのは2013年12月19日の早朝。京都市山科区の王将フードサービス本社の駐車場で大東隆行社長(当時72)が拳銃で撃たれて死亡した。事件からおよそ9年後の2022年10月、京都府警は特定危険指定暴力団・工藤会の傘下、石田組の幹部、田中幸雄被告を逮捕した。田中被告は殺人などの罪で起訴されたが、起訴内容を一貫して否認していた。 遺族が悲痛な叫びをあげたあの日からおよそ11カ月、判決は遺族にとっては予期せぬものとなった。2026年10月16日、京都地裁は田中被告に対し「被告が犯人であることに合理的な疑いが残る」として無罪判決を言い渡した。検察側は無期懲役を求刑していた。 判決後、遺族は代理人を通じてコメントを出した。「予期せぬ判決で非常に落胆しています。極めて不当な判決であり、検察庁には控訴をしていただくよう強く申し入れました」。 (『ABEMA的ニュースショー』より)