ジョージア州で13歳の少年と45歳の男性が通りがかりの車から銃撃されて死亡した事件で、ロボット犬の撮影した映像が手がかりとなって、警察が容疑者2人を逮捕した。同州デカルブ郡警察によると、7月2日に発生した事件に関連して、キーシャン・ウェッブ容疑者(21)と16歳の少年が殺人や動物虐待の容疑で逮捕された。この事件では犬1匹も命を落としていた。4足歩行のロボット犬が殺人事件の容疑者逮捕に貢献したのは今回が初めてだったと思われる。このロボットを開発したスタートアップのアンドーンテッド(本社アトランタ)によると、集合住宅などに配備した警備ロボットは100台を超えている。デカルブ郡警察広報のエリーズ・ウェルズは「アンドーンテッド・ロボティック・セキュリティは、容疑者のうち1人が映った映像を提供することで捜査に協力した。この映像は、捜査員が容疑者を突き止めて逮捕するために使った証拠の1つだった」と本誌に語った。アトランタの集合住宅をパトロールする4足歩行ロボットの映像はXで200万回以上も再生され、これをきっかけに関心が高まっていた。「オッピー」と呼ばれるこのロボットは遠隔操作式で、施設内の固定カメラや人による監視を組み合わせて警備を行う。オペレーターの多くはフィリピンにある「ミッションコントロールセンター」に勤務している。今回の警察の発表は、民間のロボット警備システムを通じて収集した証拠が凶悪犯罪の捜査に貢献できることを印象付けた。同時に、警備業務の担い手が現場の警備員からリモートワーカーへと切り替わりつつあることの表れでもある。リモートワーカーは敷地内を巡回するロボットを通して双方向音声で住民らに対応し、捜査当局に映像を中継できる。ただ、NPOの電子フロンティア財団(EFF)のような人権擁護団体は、ロボット犬の監視レベルに対して警戒感を募らせる。今回の事件では、ロボットシステムの映像が容疑者逮捕の手がかりとなった。しかし警察は、民間が運営する同システムを常時監視しているわけではないと強調する。アンドーンテッドはアトランタ市警察の統計を引用して、別の場所では同システムを導入してから犯罪件数が減ったと伝えている。ただし警察の広報は、犯罪が減った要因は1つだけではないと述べ、警察は幅広いサービスを提供して同地で積極的に活動していると説明した。アンドーンテッドに対する関心が高まったのは、エネルギー省の核科学者だったマット・ヴァン・スウォルが投稿した映像がきっかけだった。映像の中の4足歩行ロボットは、集合住宅を夜間パトロールして、搭載の音声システム経由で住民らと会話していた。ネット上ではこうしたロボットの登場で、人間の警備員が自律型ロボットやAIロボットに取って代わられ始めているという憶測が広がった。ただし現実はそれほど単純ではない。ロボットは人間のオペレーターが遠隔操作して、カメラの映像を確認し、住民に直接話しかけて対応を講じるべきかどうか判断している。創業者のブライアン・ディナーCEOは本誌にこう語った。「実際には契約警備員を、人が操作する我々独自のロボットに置き換えている。その方が半分の値段でいい仕事をする」。同サービスの基本料金は1日8時間の警備で年間4万ドルだという。これに対し、アトランタのリライアブル・セキュリティ・スタッフィングが公表している料金は1時間18ドル~32ドル。毎日8時間の警備を依頼した場合、年間5万2600ドル~9万3400ドルになる計算だ。ただし実際の料金には違いがあるかもしれない。遠隔操作のロボットは、現場の警備員を危険にさらすことなく危険な状況に接近できるとディナーは言う。敷地内を移動しながら固定カメラに接続することで、オペレーターが異常を検知する助けになる。オペレーターは双方向音声システムを通じてその場にいる人と話ができる。気軽な会話から始めて、状況が悪化すれば警告を発したり、警察に通報したりすることも可能だ。ロボットに攻撃用の装備は一切なく、物理的に誰かを拘束することもできない。各施設には少なくとも2台のロボットを配備しているという。ロボットは約2時間稼働すると、「ドッグハウス」と呼ばれる充電局に戻り、約2時間充電する。「最初は人にいたずらされることが本当に気がかりだったので、ロボットは鋼鉄製にした」とディナーは言う。「しかし相手は住人がほとんどなので、実際にはロボットに対するいたずらなどはほとんどなかった」ロボットを人が操作しているという現実が、実質的な抑止力になっているとディナーは指摘する。オペレーターが相手に直接話しかけることで、実害がない状況であれば警察を呼ばなくても解決でき、カメラやナンバープレートの映像記録を使って違反者を特定することで、破壊行為を防止できる。緊急時には1台が現場付近にとどまり、もう1台は入り口に移動して対応に駆け付けた警官を案内する。アンドーンテッドは10月21日、配備したロボットが100台を突破したと発表した。全てアトランタ都市圏で稼働している。利用しているのは約70%が集合住宅で、残りは商業施設などが占める。フィリピンにあるミッションコントロールセンターでは、約78人のスタッフが24時間体制でロボットの操作やカメラ映像の監視にあたる。アトランタでも少数のスタッフが勤務している。