社内の女性用トイレで同僚の男性社員に盗撮されたJR東日本の女性社員が今年9月、被害後の会社の対応が職場環境配慮義務に違反するとして、同社に計約816万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。訴状などによると、被害者であることが社内に上司を通じて伝えられたほか、希望と全く異なる異動先を示され、女性は休職に追い込まれたという。被害に遭った社員を、会社はどう守るべきだったのか。女性がAERAの取材に応じた。* * * 社内で性被害に遭った。だが、会社は守ってくれなかった。「体調が優れない日々が続いています」 女性は静かに話した。 2024年8月5日、同じ職場の社員の男が、別の盗撮容疑で逮捕された。警察が押収したスマートフォンを調べたところ、女性も社内のトイレで盗撮被害に遭っていたことが判明した。 自分が被害に遭ったことを知ったのは2週間後の19日。同僚から知らされた。翌20日に警察でデータを確認し、被害届を提出した。刑事裁判で男は女性の盗撮を含めた約10カ月間の盗撮が認定され、性的姿態撮影等処罰法違反の罪で、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けた。会社からは懲戒解雇された。■「被害」は事件後も続いた 女性をさらに傷つけたのは、被害後の会社の対応だった。女性は意を決して今年9月中旬、会社に総額約816万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。 訴状や会見などによると、被害者が自分であることを不必要にほかの社員に漏洩されたり、本人の希望に全く沿わない異動先を提示したりしたことなどを挙げ、会社の職場環境配慮義務(労働契約法第5条)違反を主張している。 女性は事件後、身の安全とプライバシー保護の観点から、自分が被害者だと知られないような配慮を求めていた。だが、上司らを通じて女性が被害者であることが職場の一部に伝わっていたり、社員向けの説明で事件現場や手口が明らかにされたりしたことで、被害者が特定されてしまったという。会見では、興味本位で質問されたり、セクハラ発言を受けたりしたことで「会社に行くことが怖くなった」と明らかにした。 また、男のデスクなどから女性の靴や使用済み生理用品が見つかったが、男は逮捕後、社内の社員を通じてこれらを移動させようとした。女性側は、関与した社員を会社が処分しなかったことも問題にしている。 他方、被害者のプライバシーを守りつつ、公共性の観点から、事件を世の中に公表するように会社に求めていた。だが、支社の管理者から「うちで盗撮はよくあること。過去の事件も公表していないから今回も行わない」と拒否されたほか、その件について産業医とカウンセリングした際には「実際にうちではよくあること。捕まっているだけいいほうだ」と告げられた、と主張している。