イギリス人俳優のハリス・ディキンソンをご存知だろうか?カンヌ最高賞受賞作『逆転のトライアングル』(22)ではディナー代金を払う払わないで恋人と泥沼の口論を始める若者を演じ、『ベイビーガール』(24)ではニコール・キッドマンの相手役。現在制作中のザ・ビートルズ映画4部作ではジョン・レノン役に抜擢され、さらに一時は「新ジェームズ・ボンド候補の一人」として名前が取り沙汰されたこともある注目株だ。 そんな彼の初長編監督作『URCHIN/アーチン』(25)は、派手さや奇抜さで突っ切るわけでもなければ、スピード感で押し切るわけでもない。むしろ社会に対する鋭い目線を持ち、その上、ユニークな人物描写と語り口で観る者をナチュラルに惹きつける。20代にしてこのようなスタイルを確立させられているのは驚きである。