韓国の尹錫悦大統領は21日、憲法裁判所の審理に出席した。国会が「非常戒厳」の解除を決議するのを阻止するため、議員を議場から引きずり出すよう軍司令官に命じたことはないと述べた。非常戒厳を宣言した昨年12月3日に国会に派遣された特殊部隊について国会を無力化したり、審議を阻止するために派遣されたわけではないと説明した。 「韓国では、国会と報道機関が大統領よりはるかに強力だ。私が権限を越えて戒厳令の解除要請を阻止しようとした場合、国会以外の場所でも可能だろう」 弁護側は尹氏の戒厳令について、野党らの行動が政府を「まひさせて」おり、警鐘を鳴らすためのものだったと述べた。また、尹氏らが対立する議員の逮捕を命じたという軍司令官の証言については「ばかげたフェイクニュース(偽情報)だ」と否定した。 尹氏は今月15日に非常戒厳宣布を巡る内乱容疑などで拘束された。 聯合ニュースは21日の審理後、尹氏が軍の病院に移送されたと報道。法務省は尹氏が治療の許可を得ているとしたものの、詳細は明らかにしていない。 裁判所の外には、尹氏の支持者らが集まり、声をあげていた。19日には尹氏の逮捕を受け、反発する支持者らが裁判所を襲撃。裁判所や拘置所は現在、警備が強化されている。 韓国国会は昨年12月、尹氏に対する弾劾訴追案を可決した。憲法裁は尹氏の弾劾が妥当かどうか、180日以内に判断する必要がある。