袴田さん再審無罪が確定、事件の刑事責任はもはや追及不可 立ちはだかる「公訴時効」、本当に必要なのか?

1966年に発生した静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さんに言い渡された再審無罪判決について、静岡地検は10月9日、上訴権を放棄し、無罪判決が確定した。 控訴断念を明らかにした検事総長談話によると、「本判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容であると思われます」と不満をみせるも、「袴田さんが、結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し(た)」とし、控訴を断念したとしている。 この結果、死刑事件では戦後5件目となる再審無罪が確定したわけだが、事件の真相は依然として不明のままだ。 何より、事件の「公訴時効」はすでに成立している。 現行の刑事訴訟法は、人を死亡させた罪であって法定刑として死刑が定められている犯罪について「公訴時効なし」としているが、事件当時の同法は「公訴時効15年」としていたため、事件の刑事責任を問うことはもはや不可能だ。 刑事裁判で、被害者遺族などの無念をはらす、また真実の解明を果たすことは叶わない。

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