ウクライナ保安庁(SBU)の高官が12日、ロシアの「スパイ」として活動していた疑いで逮捕された。 SBUはこの人物の名前を公表していないが、ウクライナ・メディアはSBU関係筋の話として、逮捕されたのはドミトロ・コジュラ大佐だと伝えている。 地元メディアは、SBUのヴァシル・マリュク長官に拘束され、手錠をかけられる高官の姿を報じた。 SBUの声明によると、容疑者が情報を収集してロシア側に送信した事例が少なくとも14件確認された。音声や映像の監視や、複数の携帯電話やコンピューターへのアクセスを含む捜査を行ったという。声明は、容疑者をロシアの「ネズミ」(スパイ)としている。 ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、ウクライナは国内にいるロシアのスパイを摘発するため、数々の作戦を公表してきた。 SBUの声明は、マリュク長官自らが今回の捜査に関わり、容疑者を逮捕するための作戦を指揮していたと説明。長官がウォロディミル・ゼレンスキー大統領に直接、進展を報告していたとした。 SBUによると、ロシア連邦保安庁(FSB)は2018年にオーストリア・ウィーンで、今回の容疑者をロシア側に引き入れた。容疑者の活動は数年間「停止」されていた。指示を出す人物と容疑者との接触は、昨年12月に再開されたばかりだったとされる。 「暗号化されたプログラムのブックマークのおかげで、我々は、携帯端末やコンピューターといった裏切り者の機器に侵入することができた」と、マリュク長官は、SBUのウェブサイトに掲載されたビデオ声明で述べた。 「我々は実質的に彼(容疑者)と生活を共にし、音声や映像の監視を行った。その過程で、裏切り者による、敵のための関連情報の収集と送信について、効率的に記録することができた」 SBUは捜査の過程で、ロシア政府側に偽情報を流していたと、マリュク長官は付け加えた。 「SBUの自浄は今も続いている。敵がどのように我々の陣営に入り込もうとしても(中略)それが成功することはない。なぜなら、我々は適時に彼らを検知し、記録し、拘束するからだ」 (英語記事 Senior Ukraine official accused of being Russian 'rat')